いくつもの顔を持つレアル・マドリー クラブW杯ではどの顔を見せるのか?

南米王者グレミオは好チーム

クラブW杯で初の連覇を狙うレアル・マドリー。今回はどの顔を見せるのか 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】

 こうした状況下、不安定なプレーを繰り返すようになった今季のレアル・マドリーは、3つのコンペティションすべてで期待を裏切る結果しか出すことができていない。CLではトッテナムにグループ首位の座を譲り、2位通過にとどまった。ラ・リーガでは12月23日の直接対決で差を縮めるチャンスがあるものの、15節を終えて早くも首位バルセロナと8ポイント差と、大きく引き離されている。国王杯では3部のフエンラブラダ相手に敗退まであと一歩のところまで追い詰められた末、辛うじて大失態を逃れている。

 はたして14日のクラブW杯にて、われわれはレアル・マドリーのどの顔を見ることになるのか? 今季の不安定なレアル・マドリーなのか。セビージャを5−0で破ったレアル・マドリーなのか。6月のCL決勝でユベントスに完勝したレアル・マドリーなのか。

 クラブW杯の決勝で対戦することが予想されるブラジルのグレミオは、バルセロナが獲得間近と報じられているアルトゥール、GKのマルセロ・グロエらを擁する好チームだ(編注:アルトゥールは一度は登録されたが、負傷でメンバーから外れた)。レアル・マドリーがこの南米王者を破るためには、好調時のプレーレベルを取り戻す必要がある。

 ボカに敗れた00年大会を経験したクラブ役員は確実にいるだろう。彼らは同じ過ちを繰り返さぬよう心掛けるはずだ。選手たちが「俺たちはレアル・マドリーだから勝てる」と考えるようならば、再び高い代償を払うことになりかねない。実際、16年大会の決勝でも鹿島アントラーズがサプライズを起こしかけている。

 もちろんこれだけの選手たちがいれば、素晴らしいフットボールを披露することも可能である。果たして、いくつもの顔を持つレアル・マドリーは、クラブW杯でどの顔を見せるのか。その答えは間もなく分かる。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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