実力拮抗で青学・原監督「往路は混戦」 監督トークバトル、上位校の注目点は?

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アドバンテージになる『エース力』の存在

原監督(左)と酒井監督が意識している大学名を並べる 【スポーツナビ】

 続いてのトークテーマは「意識せずにいられない大学は?」。

 まず青山学院大の原監督は「神奈川大、東海大、順天堂大、山梨学院大、東洋大」。東洋大の酒井監督は「青山学院大、神奈川大、東海大」。早稲田大の相楽監督は「神奈川大」と、3校に共通するのは全日本大学駅伝覇者の神奈川大となった。

 原監督は「レース展開を考えてになりますが、神奈川大、順天堂大、山梨学院大は1区、2区に学生ナンバー1選手を持っているチームです。この1区、2区で三つ巴で前半リードするという展開があるかなと思っています」と、序盤の流れを作るチームに注意を払っている。さらに東洋大、東海大についても選手層が厚く、「往路は混戦になるのでは」と序盤の展開は力が均衡すると話した。そして「今年は非常にファンのみなさんには、面白い、視聴率の上がる大会になると思います」と付け足した。

 酒井監督は「勝ち方を知っている選手や監督がいるというのは強い。エントリーから大会当日まで、各大学にドラマがあります。傷口を広げるのか、何もないのか。経験が多いチームほど、有利に働くと思います。青山学院大に勝つには、地力がないと勝てないと思います。一方で選手層の分厚い東海大は有力校だと思いますし、神奈川大はエース力+結束力と勢いが非常にあるなと思います」と話し、この3大学を意識する相手に挙げている。
『エース力』という単語が話題になり、神奈川大の鈴木について大後監督の意見を求められると、「自信を持ってエースと言える選手は、この30年で彼だけ。それだけ信頼を置いていますし、エースって本当にいいなと思いますね」としみじみ語った。
 これを聞いて原監督は酒井監督の方を向き、「うちも神野(大地/コニカミノルタ)、酒井さんも柏原(竜二/富士通)がいた時は、楽だったよね」と“山の神”が活躍した時代を懐かしむと、酒井監督も「エースがいなくても常勝でいかなければいけない苦しさは分かりました」と苦笑い。そして原監督も酒井監督も「もう一度、(彼らを)戻したい」と話し、会場から笑いが起こった。

気になるのは“選手層厚い”東海大の区間エントリー

神奈川大・大後監督は、層の厚い東海大の区間エントリーが気になっている…… 【スポーツナビ】

 順天堂大の長門監督が意識する大学に挙げたのが、中央学院大と山梨学院大。「この2校の監督(川崎勇二監督と上田監督)はもともと、順天堂大出身。本家が負けるわけにはいかない」と語ると、会場からは拍手。さらに2区のエース対決の話題になると、順天堂大・塩尻、神奈川大・鈴木、山梨学院大のドミニク・ニャイロが三つ巴でハイペースの展開になったら、他校に大きなプレッシャーを与えることになるだろうとした。

 そして最後になった大後監督は「あえて申すなら、東海大」とした。「なんでここに両角(速)監督を呼ばなかったの?」と不平が口に出るほど、東海大の区間エントリーが気になる様子。“黄金世代”と呼ばれる2年生が9人も名を連ねており、「(区間エントリーが)読めない。次に会うのは29日なので」と、区間エントリー発表日まで気になる状態だと話した。原監督も東海大は気になっているようで、特に注意しているのが出雲駅伝1区区間賞を獲得した阪口竜平(2年)。「關(颯人)くん、鬼塚(翔太)くんに注目が集まっているけど、彼はすごくいい走りをする」と話すと、大後監督も「11月にオランダで15キロのレースに出場しているのですが、うちの鈴木よりも40秒速いタイムを出しています。それぐらい秘めた力を持っている選手」と、下馬評だけではない選手層にも注意を払っている。

実力が拮抗で「今回の箱根は2区が面白い」!?

酒井監督は注目選手に神奈川大エースの鈴木健吾を挙げる 【スポーツナビ】

 続く「ファンの皆さんに特に見て欲しい選手は?」というテーマでは、順天堂大の塩尻の名前が上がる。

 8月のユニバーシアード(台北)に帯同した大後監督は「1万メートル27分台で走り、走っている時は精悍な選手ですが、走りからは想像がつかないような温和な性格で、ナヨナヨしているんですよ(笑)。本当に素直で女の子っぽい感じで、ちょっと不思議ちゃん。本当に走りと日常生活が違う選手」とそのギャップに驚く。また早稲田大の相楽監督も「27分台で走った選手を振り返ると、大迫(傑/ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、竹澤(健介/08年北京五輪長距離日本代表)、鎧坂(哲哉/旭化成)くん、設楽(悠太/Honda)くんと、日本の中心選手として活躍しています。その塩尻選手は2区でどんな走りをするかに興味がありますし、また2区だと前回の区間賞、神奈川大の鈴木くんと走ることになりますし、2区には各大学のエースが並び拮抗したレースになるでしょうから、今回の箱根は2区が面白いのではないかなと思います」と見どころも上げた。
 指導する長門監督も「大後監督が言われたとおり、素直でつかみどころがない選手。多分、学校の生徒も『これが塩尻なの?』と学内での顔つきも違いますが、スタートをしてからのスイッチの切り替えというのが彼の集中力の高さだと思います」と評価している。

 酒井監督は注目選手として、神奈川大の鈴木を挙げる。「塩尻くんは3000メートル障害でリオ五輪に出ていますが、2020年東京五輪のことを考えると、鈴木くんは1万メートルからマラソンまで、幅広くまだまだ伸びると思います。鈴木くんはマラソンができる基礎力ができています。箱根駅伝は1万メートルではないので、特に2区は残り3キロで上りがあります。塩尻くんがラスト3キロを上れる力をつけてくるならまた(1時間)6分台も見えますが、鈴木くんは前回の経験と、後半が強いので、2区はやはり後半が強い選手が非常に有利だと思います。ハイペースの2区なら塩尻くん、イーブンペースで自分のペースを守れるなら鈴木くんに軍配が上がると思いますし、多分、(山梨学院大の)ニャイロくんがかき回してくると思いますので、私としては鈴木くんに注目したいです」と2区のレース展開まで分析した。

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