ブラサカとの出会いが人生を変えた 日本代表選手が誓う東京でのメダル

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東京五輪で恩返しを

取材中は、筆者の目を真っすぐ見つめて質問に答えてくれた 【スポーツナビ】

 加藤は、2007年には日本代表に初選出された。主に1−2−1の形で作られるひし形の両サイドを任され、10年以上にわたって日本の主力として活躍している。ボールの音と味方からの指示を聞き分け、ピッチ全体の位置関係を把握しながら、正確なパスを供給してチームのバランスを取るのが加藤の持ち味。優れたボールコントロールは、サッカーを始めた小学3年の時から、毎日のようにボールを蹴り続けたことで身につけた技術だ。

 だが「今でもまだまだだと思っています。ゴールを決めても『あそこはこう蹴れば良かった』という後悔があったりする。満足したら終わりだと思っています」と、32歳になった今でも、サッカーへの向上心は高まるばかりだ。

 残り約1000日に迫った20年の東京パラリンピックには、開催国として初出場することが決まっている。日本はまだ、パラリンピックに出たことがない。15年のアジア選手権では上位2チームに入れば16年のリオデジャネイロ大会への切符をつかめたが、結果は6カ国中4位で、悲願の初出場を逃した。

 加藤は北京、ロンドンと合わせて計3度、大舞台の夢を絶たれてきただけに「ただ出ればいいというわけではない。最低でもメダル、一番は金メダルを取りたい」と気合十分。まずは12月9日からマレーシアで行われるアジア選手権で優勝を勝ち取り、そのための自信をつけていきたいところだ。
 
 パラリンピックでのメダルには、加藤にとってもう一つの意味がある。

「ブラインドサッカーに出会っていなければ、今の自分はないと思う。見つけてくれた両親や、周りで支えてくれた方へ、感謝の気持ちをメダルで伝えたい」

 失明してから加藤の目は「(目の前に)手をかざしたりどけたりすると、わずかに光を感じる」程度にしか見えないという。だが、力強く目標を語る瞳は、確かに未来への光を映していた。

(取材・文:守田力/スポーツナビ)
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