PDCA意識で成長、競泳チームジャパン 世界水泳から3カ月半での手応え

田坂友暁

チームジャパンの“PDCA”

男子400メートル個人メドレーで優勝し、歓声に応える瀬戸大也=東京辰巳国際水泳場 【共同】

 彼らに共通するのは、“PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善の繰り返し)”で物事を考えていること。冬場の取り組みの計画を立て、実践。その都度結果を確認しながら、日々のトレーニングに取り組む。夏の世界水泳を終え、その結果の良し悪しを踏まえて次シーズンの目標や目的を設定した選手たち。それを実践の場、つまり今大会を使って確認したのである。

 例えば、小関は世界水泳で「メダルの色にこだわらず、常に結果を残し続けることが大切だと考えている」と話していた。それが今大会で“狙って”更新した50メートル平泳ぎの日本記録、さらにプリゴダとの勝負にこだわる姿勢に現れている。
 今井や渡部は、本来得意とする平泳ぎの比重を高め、泳ぎや感覚の改善に取り組み、今大会である一定の結果を残した。

 平井伯昌日本代表監督は世界水泳後に「ナショナルチームとしての活動を増やす」と話した。今までも“インターナショナル”と呼ばれる制限記録を突破すれば、代表クラスの選手たちが集まる合宿に参加することはできた。だが、これはJISS(国立スポーツ科学センター)などの施設を利用することが主な目的で、参加してもだいたいが所属の指導者に練習を見てもらうことがほとんどだ。
 これを夏以降、所属の垣根をなくし、同じ練習メニューで一緒にトレーニングをしたり、所属以外の選手や指導者とのコミュニケーションを強化したりする機会を作ろうと平井監督は呼びかけ、取り組み始めている。

 所属での練習では、代表クラスと同じレベルで競り合える選手がいない場合が多い。そうなると、さすがに代表選手といえど、気持ちが切れる場面も出てくる。そういう意味では、月に1、2度のペースで代表レベルの選手たちが一堂に会し、競り合いながら練習することは大きな刺激になり、効果的なトレーニングを積むことができる。

 今後行われるスペイン・シエラネバダの高地合宿には、世界水泳代表のうち、23人もの選手が参加する。きっと、そこでも毎日のように競り合い、刺激し合う日々が待っているはずだ。その効果は、選手たちがまた私たちの前で、記録という結果で見せてくれることだろう。

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著者プロフィール

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かした幅広いテーマで水泳を中心に取材・執筆を行っている。

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