スーパーGT2017シーズンが決着 第7戦のタイが勝敗を分ける
GT500クラスを制した平川亮(右)とニック・キャシディ 【写真:吉田成信】
関谷監督「めちゃくちゃうれしい」
ともに23歳の平川/キャシディは、最終戦でチャンピオン獲得に挑戦するのは初めて。初日から緊張気味で、予選では8ポイント差を付ける#23 MOTUL AUTECH GT−R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)にポールポジションを奪われてしまう。しかし2人とも最後まで浮き足立つことなく2位でチェッカーを受け、初のシリーズチャンピオンを獲得した。
またスーパーGTでは名門であるチームトムスにとっても、09年以来となるタイトル。関谷正徳監督は「正直、めちゃくちゃうれしいです。ここまでなかなか(チャンピオンを)取れそうで取れないレースが続いていました。特にトムスが2台体制になって、その中で37号車としては初めてのシリーズチャンピオンですから、今年の若い2人とともにチャンピオンを獲得できてうれしいです」と笑顔を見せた。
そしてドライバー2人はというと、週末を通して感じていた重圧から解き放たれ、口をそろえて「言葉にならないくらい、ホッとした」と満面の笑みを見せた。
最終的にランキング2位に入った23号車とは2ポイント差での決着で、まさに今シーズンの激戦を象徴するような結果になった。その分岐点となったのが第7戦のタイだ。
「タイ戦がやっぱり、チャンピオンにつながる大きな勝利だったかなと思います。重量を積んで優勝できたのはかなり大きいことでした。厳しい状況というのは分かっていましたが、思ってもいない優勝を手に入れられたことで、今回のこの結果につながったと思います」(関谷監督)
「タイの予選ですね。そこで一気に流れが変わったと思います。昨日の予選で若干ニスモとかに流れが行っているのかなと思ったところを、チームや僕たちの強さで今日は(流れを)引き戻せたので、やっぱりタイの予選でしたね」(平川)
「全体的にわれわれの速さがあったと思う。シーズン中盤はウェイトが重くて苦労したよね。SUGO(第4戦)とか鈴鹿(第6戦)は、その影響で大量得点ができなかった。そして、ニスモに先行された状態でタイに入ったけど、あのレースは僕たちにとってはとても重要な一戦になったと思う。あの状況で優勝して、もう一度大量得点を実現できた」(キャシディ)
開幕戦から他メーカーを圧倒する速さを見せていたレクサス勢だが、スーパーGTでは前戦までの成績に応じてウェイトハンデを背負うことになり、特にシーズン中盤は思うように戦えなくなってくる。さらに序盤戦で苦戦していた日産勢が勢いを取り戻し、鈴鹿を終了した時点でMOTUL AUTECH GT−Rがランキングトップに浮上。チャンピオン争いに名乗りを上げた。
勢いを加速させた第7戦の勝利
来年はカーナンバー1をつけることになる平川とキャシディ。しかし2人ともまだ23歳ということで、このチャンピオン獲得を足がかりに、さらなる高みを目指したい。
「このチャンピオンを通過点として考えて、さらに上のレベルで戦っていきたいですし、まだまだ上のレベルはあると思うので、これで満足せずにさらに努力して、自分の速さにもさらに磨きをかけていきたいなと思います」(平川)
「もちろん、この結果は僕の人生においてプラスに働くことは間違いないだろう。だけど正直、僕は日本でレースをするのが大好きなんだ。スーパーGTやスーパーフォーミュラでレースができて本当に素晴らしい。ここが一番やりがいのある場所になると思う。だから、これからもこのシリーズで頑張ることにフォーカスしていきたいね」(キャシディ)
スーパーGTで平成生まれのチャンピオンが誕生するのは初めてのこと。この経験が2人の今後のレースキャリアにどう影響していくのか。非常に楽しみだ。