「演技の質」重視するベテランの戦い方 ボロノフ、リッポン、ビチェンコが表彰台
「自分には自分なりのすごさがある」
2位のリッポンは、経験を重ねて「今は大胆に、ミスを恐れることなく取り組めている」 【坂本清】
NHK杯がファイナルを含めてGPシリーズ20大会目の出場となるリッポンは、若手との違いをこう語る。
「昔の自分だったら、4回転を5個入れていないからダメかもしれないとパニックになっていたと思います。ただ、今は年齢を重ねて大人になったので、若いスケーターを見ると『あなたたちはすごいね。でも自分には自分のすごさがあるから』と思えるようになりました。彼らは難しいジャンプを跳ぶことで点を取っていく。自分は自分なりの戦略で点を稼いでいこうと思っています」
そしてリッポンもまた「キャリアが上昇の波に乗っている」という。
「私はこれまでのキャリアで、良いことや悪いことをたくさん見てきました。そうした経験を現在はスケートに取り入れることができています。若い選手たちにはそれができないと思うんですね。年齢を重ねて、成熟した選手になってきたからこそ、その経験でスケートがしやすくなっていると感じます。今は大胆に、ミスを恐れることなく取り組めているのも大きいです」
競技を続けるモチベーション
3位のビチェンコも、生き生きと競技への意欲を語る 【坂本清】
彼らは今後も新たな4回転を取り入れることより、演技の質をより高めていくことに重点を置いていく。それがベテランとしての彼らなりの戦い方だからだ。五輪でのメダル獲得は難しいかもしれない。それでも、今回のボロノフのように過去の自分は超えていくことができる。リッポンは言う。
「私は毎日ジムに行ってトレーニングをすることが大好きで、日々アスリートとして自分が力をつけているという実感があります。実際に自分はどんどん良くなってきているという感覚もあります」
ビチェンコは競技を続けるモチベーションについてこう話す。
「自分が頑張れるのはその先に夢があって、成功があると信じているからだと思います」
そしてボロノフは同じ問いに対し、シンプルにこう答えた。
「やはり好きじゃないと長続きしない。スケートを好きだという気持ちが競技を続ける原動力となっています」
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)