【全日本プロレス】ドーリングがヨシタツに圧勝で初防衛 「最強タッグ」に向け各チームが火花

高木裕美

大森が「最強タッグ」優勝宣言!

セミファイナルでは「GET WILD」対決も実現。世界タッグに向け、各選手の気迫がこもった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは「The Rood to 2017 世界最強タッグ決定リーグ戦 〜Dream with You〜」と題し、秋山準、宮原健斗、大森隆男、ゼウス、崔領二組vs.諏訪魔、石川修司、征矢学、TAJIRI、KAI組による豪華10人タッグが実現した。

 1978年より毎年、年末に開催され、「テーマ曲の『オリンピア』を聞くと年の暮れだと実感する」と言われるほど風物詩としてプロレス界に定着した最強タッグ。今年は現世界タッグ王者組の秋山&大森組をはじめ、団体の枠を超えた魅力的な全10チームが参加。総当たりリーグ戦として、11.19札幌で開幕し、12.12後楽園で優勝決定戦が行われる。

 まずは10.9後楽園で三冠王座を争った諏訪魔と宮原が対峙すると、続いて、大森と征矢の「GET WILD」対決が実現。昨年は見事優勝を果たしながら、今年は別々のパートナーと出場する2人のチョップ合戦に、客席からは「ワイルド」コールが起こる。10分過ぎ、征矢への5人がかりのトレイン攻撃から宮原がブレーンバスターで投げると、征矢も宮原にラリアット。しかし、TAJIRIとの合体攻撃はTAJIRIが蹴られて失敗し、続くKAIとの合体技もKAIが蹴られて失敗。怒ったTAJIRIが味方である征矢にグリーンミストを噴射し、すかさず宮原がブラックアウトでたたみかけて3カウントを奪取した。

 試合後、出場各チームのアピール合戦が勃発する中、個人として2年連続優勝を狙う大森は「チャンピオンは大森、秋山だ。覚えとけ。今年の最強タッグ、絶対GET WILDするぜ。最強タッグ、ワイルドに行こうぜ!」と、タッグチャンピオンとしてのリーグ戦制覇を宣言。また、三冠王座から転落後も、徹底的に観客をあおりまくっている宮原は「後楽園の皆さん、誰が優勝すると思いますか? 満場一致で宮原健斗でーす!」と、パートナー(ヨシタツ)の存在など目に入っていないかのように、自己愛を爆発させた。

大地&神谷が大日本代表として最強タッグに

大地&神谷が世界タッグ出場権を獲得 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 11.19札幌にて開幕する「世界最強タッグ決定リーグ戦2017」出場を賭けた「大日本プロレス代表チーム決定戦」では、橋本大地&神谷英慶の「大神」が、関本大介&野村卓矢組を破り、伝統のリーグ戦への参加権を手に入れた。

 当初、最強タッグには当時の世界タッグ王者組であった関本&岡林裕二組の出場が発表されていたが、岡林が10.15大日本・後楽園大会で右肩関節脱臼および肩鎖関節脱臼の重傷を負ったため、王座返上&長期欠場が決定。10.21横浜では、関本&伊東竜二組vs.秋山準&大森隆男組による王座決定戦が行われ、秋山&大森組が王座を奪取した。

 試合後、王座奪取を逃した関本&伊東組は、最強タッグ出陣にも意欲を見せていたが、野村が「伊東さんはデスマッチ。ストロングならオレが出るのが当然」とパートナー変更を主張。さらに、チーム大神も「(大日本の)最侠タッグを制したオレたちが出るべき」と訴え、急きょ、代表チーム決定戦が組まれることになった。

 関本は神谷とチョップ合戦を繰り広げると、アルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げるが、大地がキックでカット。神谷も関本の巨体をボディースラムで投げ、大地がミドルキックからキックのコンビネーション。大地が野村をSTFで捕獲すると、関本がつかまえてジャーマンを狙うが、神谷がタックルで阻止。野村は大地をジャーマンで投げ、張り手で意地を見せるも、大地もキックで対抗し、ファルコンアロー、シャイニングウィザードで勝利をつかんだ。

 試合後は両軍ノーサイドとなって握手。全日本の会場でありながら、客席からは「大日本」コールが起こり、大日本のテーマ曲も流れた。

 最強&最侠タッグ両制覇を狙う神谷が「大日魂を見せる」と意気込むと、大地も「世界タッグ、アジアタッグも狙って行く。まずは優勝!」と、さらなる栄冠獲りにも野望を見せた。

竹田&丸山組が優勝 照準はアジアタッグ奪取!

「Jr.TAG BATTLE OF GLORY」は竹田誠志、丸山敦組が優勝 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 今シリーズを通して行われた「Jr. TAG BATTLE OF GLORY」は、最終公式戦で竹田誠志、丸山敦組が青木篤志、佐藤光留組に勝利し初優勝。今後の目標として、これまで2度、王座奪取に失敗しているアジアタッグ王座戴冠を掲げた。

 すでに公式戦を終えた鈴木鼓太郎&佐藤恵一組、ブラック・タイガーVII、ブラック・スパイダーVII組が2勝2敗の4点で点数的には並ぶ中、2勝1敗の4点同士で争った両軍。勝ったチームが優勝、20分時間切れ引き分けとなれば再試合で優勝決定戦、両者リングアウトならば4チームによる優勝決定戦が行われるという状況で、雌雄を決する戦いが繰り広げられた。

 青木がマスクをかぶったまま試合スタート。青木&佐藤組は2人がかりで徹底的に丸山の左腕を攻め立てると、竹田にも青木がマンハッタンドロップ、ミサイルキック。佐藤も丸山に水車落とし、腕ひしぎ逆十字固め、アンクルホールド、バックドロップからアームロックでとらえるが、竹田が青木を抱え上げ、佐藤めがけて投げつける荒っぽいカットで阻止。息の合った連係攻撃でチームを分断し、竹田が場外で青木をブレーンバスターで投げる間に、丸山も佐藤にジャーマンスープレックス、顔面蹴りとたたみかけ、タイガーススープレックスでフィニッシュを決めた。

 優勝トロフィーを手に笑顔を見せた竹田が「アイツらに土をつけたのは大きな一歩」と自信を深めると、丸山も「これに満足せずに、これまで2度失敗したあのベルトにこのまま行きましょう」と、現在、野村直矢&青柳優馬組が保持しているアジアタッグ王座奪取に名乗り。さらに丸山が11.19札幌で西村修から!BANG!TV 世界ヘビー級王座を強奪すると宣言すると、竹田も全日本参戦時からの悲願である世界ジュニアヘビー級王座獲りをブチ上げた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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