【UFC】サンピエールが復帰戦でミドル級王者に 2階級制覇も「これは私の階級でない」

長谷川亮

4年ぶりの復帰戦に期待と懐疑の目

4年ぶりの復帰戦ながら、ミドル級王座に挑戦したサンピエール 【Zuffa LLC】

「UFC 217」が日本時間5日、昨年に続き再上陸となる米国ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催された。世界的に高名な大会場での大会に合わせ、UFCは3試合のタイトルマッチ(ミドル級・バンタム級・女子ストロー級)を用意。2017年最大のイベントとなったが、タイトルマッチも波乱の結末が続出した。

 メインイベントに登場したのは4年ぶりの復帰となるかつてのウェルター級“絶対王者”ジョルジュ・サンピエール(以下GSP/カナダ)。9度の防衛を成し遂げたGSPだが、13年11月、ジョニー・ヘンドリックス(米国)を相手にベルトを守るとその後休養を宣言。復帰へ向けてトレーニングを積むも、途中で左膝前十字じん帯を負傷する大ケガを負ったこともあり欠場が長期化し、今大会で実に4年ぶり、そして階級を上げてミドル級タイトルマッチでの復帰戦という形になった。

“MMAの進化を10年早めた”とも言われるGSPだが、4年のブランク、そして日進月歩の現代MMAに対応できるのか、期待と懐疑の目を向けられての再スタートとなった。

 対するはUFC参戦10年、26試合目にして戴冠を成し遂げた苦労人の王者マイケル・ビスピン(イギリス)。GSPに対し体格的優位を戦前から語り、2度目の王座防衛戦に挑んだ。

“らしさ”も見せ一本勝利で2階級制覇

試合の中では随所に“らしさ”を見せたGSP(左) 【Zuffa LLC】

 道着に「必勝」と字の入ったハチマキで入場するのが印象的なGSPだが、この日はTシャツでオクタゴンへ入り、やはり1階級上のミドル級であるからか、胸まわりにこれまで以上の厚みを感じさせる。

 試合が始まると、タックルを警戒して重心を低くするビスピンに、まずはジャブとローを放つGSPだが、ビスピンもGSPの踏み込みに合わせ左フックを当てる。しかし1ラウンド後半になるとGSPはジャブと見せかけタックルで入ってテイクダウンを奪い、ここはすぐ立たれるも、スーパーマンパンチに後ろ回し蹴りと往時の動きを見せていく。

 2ラウンドもジャブから再びスーパーマンパンチ、タックルと“らしさ”を見せるGSP。しかし、ビスピンの圧力や押さえるために力を要するのか、乱れた呼吸と汗の多さが目につく。

 3ラウンド、タックルでテイクダウンしたGSPだが、ビスピンが下から飛ばしたヒジを受けて出血。かつてのようにパスガードも見られず、ビスピンに立たれると顔が鮮血に染まる。ジャブを当てられピンチのGSPであったが、ビスピンが右を当てた直後に左フックを当ててこれでダウンを奪い、すぐさまビスピンにパンチとヒジ打ちを連打。背を向けたところをチョークスリーパーで切って取り、復活勝利と2階級制覇を決めた。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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