【新日本プロレス】棚橋がIC王座V3も試合後にKO ジェリコがUS王者オメガに挑戦表明

高木裕美

棚橋(左)が飯伏を退けIC王座V3。30分近くに及ぶ死闘を制した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 5日の新日本プロレス「POWER STRUGGLE」大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)大会では、4大タイトルマッチなどが開催され、札止めとなる5480人を動員。休憩中には、来年3月25日に米国ロサンゼルス・ロングビーチ大会が開催されることが発表された。

 メインイベントのIWGPインターコンチネンタル選手権試合では、30分近くに及ぶ死闘の末に、王者・棚橋弘至が飯伏幸太を退け、3度目の防衛に成功。試合後、スイッチブレイドこと元ヤングライオンのジェイ・ホワイトが乱入し、王座挑戦をアピール後、シェルショックで棚橋を完全KOした。

感情が爆発した棚橋と飯伏

最後はハイフライフロー2連発で終止符。試合後は飯伏に新日本参戦も呼びかけた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 棚橋と飯伏は今年の「G1クライマックス」公式戦となる8.1鹿児島で対戦し、地元出身の飯伏が初公開の新技カミゴェでシングル初勝利。IC王者の棚橋は、自ら飯伏をV3戦の相手に指名すると、その後のコメントでも「飯伏がもったいない」「もっとしっかりしなさい」「飯伏はもっとできる」と、新日本を退団後、目立った活動をしていない飯伏にゲキを飛ばし続けていた。

 シリーズ中から感情的なファイトを繰り広げていた両者だが、大阪で一気に爆発。飯伏は序盤に右ヒザを痛めながらも、10分過ぎに場外でバミューダトライアングルを決め、「よっしゃーっ!」と気合を注入するも、棚橋がドラゴンスクリュー、テキサスクローバーホールドで右ヒザ攻め。すると飯伏は、棚橋と並びもう一人「神」と崇める中邑真輔のムーブである、コーナーに乗せてのヒザ蹴りをかますと、雪崩式フランケンシュタイナー、ヤリ投げから、スワンダイブ式ジャーマンスープレックス。15年1.4東京ドームで中邑に出した秘技を繰り出すと、フェニックススプラッシュはかわされ不発。だが、直後に棚橋のハイフライフローもかわしてみせる。

 棚橋の張り手連打で火がついた飯伏が掌底、張り手、パンチ、顔面蹴りをブチ込むと、棚橋も張り手で応戦。飯伏はラリアット、シットダウン式ラストライドを決めるも返され、フェニックス・プレックスは不発。逆に棚橋がツイストアンドシャウト3連発から飯伏のカミゴェを阻止し、スリングブレイド、ドラゴンスープレックスからのハイフライフロー2連発でフィニッシュを決めた。

海外武者修行からヒール転向したジェイ・ホワイト

海外武者修行から戻ってきた元ヤングライオンのジェイ・ホワイト(左)が棚橋をKO 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合後、飯伏が棚橋に抱きつくと、棚橋もようやく笑顔を見せ、飯伏の名前を4回も連呼してから「また上がってこいよ」と、新日本参戦を呼びかけた。さらに棚橋は「棚橋がチャンピオンだった時代に離れて行ったファンもたくさんいると思います。だから、オレはもう2度とプロレスファンをガッカリさせません」と宣言。観客の声援に応え、3回もエアギターをかき鳴らし、悠然と退場しようとしたところ、突如音楽が止まり、スイッチブレイドことジェイ・ホワイトが登場。ホワイト(白)というよりは、ダークなコスチューム&雰囲気に包まれたホワイトは、棚橋に王座挑戦を訴えると、上着を脱いでエルボーを打ち合い、シェルショックでKO。首にかけていたペンダントをはずして、ダウンした棚橋の胸の上に置き、「オレが新日本に戻ってきた。おまえのベルトはオレのものだ」と、実力行使で次期挑戦権を奪い取った。

 ホワイトはニュージーランド出身の25歳で、13年に一度プロレスラーとしてデビューしながらも、15年に新日本に入門。「青い目のヤングライオン」として奮闘し、16年6月より米国ROHにて海外遠征中であった。

 新日本では昔から若手選手が海外遠征で修行を積むのが伝統となっており、この日、訃報が伝えられた大剛鉄之助さんは、カルガリーで天山広吉、小島聡、大谷晋二郎、石澤常光らを育てた名コーチであった。また、近年では、EVIL、高橋ヒロム、ROPPONGI 3K(SHO&YOH)など、海外に出た若手がいずれもヒールとなって戻ってきており、ホワイトも例に漏れず悪の道に染まって帰ってきた。

 かつて、棚橋は12年2.12大阪で、当時1.4東京ドーム大会で米国TNAから凱旋帰国を果たしたばかりの“レインメーカー”オカダ・カズチカとIWGPヘビー級王座を賭けて対戦。それまで史上最多記録となるV11に成功していた棚橋であったが、何の実績もないオカダに敗れ、プロレス界に“レインメーカーショック”を引き起こした。オカダはその年の「G1クライマックス」も初優勝し、プロレス大賞MVPを獲得。一気にプロレス界のトップスターへと上り詰めた。

 果たして、棚橋がまたもノーマークの若手に敗れ、6年前の衝撃の再現となるのか、それとも、王座を死守し、棚橋エース時代を再構築するのか。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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