【新日本プロレス】棚橋がIC王座V3も試合後にKO ジェリコがUS王者オメガに挑戦表明

高木裕美

1.4東京ドームでオメガvs.ジェリコへ

オメガは片翼の天使でバレッタを粉砕。US王座を守った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルのIWGP USヘビー級選手権試合では、王者ケニー・オメガがバレッタの挑戦を退けV3を達成。試合後、ビデオメッセージでWWEスーパースターのクリス・ジェリコが挑戦表明し、来年1.4東京ドームでの両者のタイトルマッチが電撃決定した。

 ジュニアからヘビー級に転向した先輩であるオメガに対し、バレッタは10.29後楽園で挑戦表明。これに対し、オメガは「東京ドームまで時間があるから、その時間を潰すためにもいいんじゃないか」と、余裕しゃくしゃくで受けてみせた。

 オメガは序盤から机を使ったラフファイトを繰り出すが、バレッタもスイングDDT、スライディング式ジャーマンで対抗。オメガのルーシュドライバーには雪崩式ジャーマンスープレックス、パイルドライバーで反撃する。10分過ぎ、オメガがドラゴンスープレックス3連発、パワーボム、Vトリガー。だが、バレッタもラリアットで1回転させ、決め技のデュードバスターで危険な角度からマットに突き刺すが、カウントは2。この窮地を切り抜けたオメガが、リバースフランケンシュタイナー、Vトリガーからの片翼の天使でついに振り切った。

 試合後、オメガは得意げに英語でマイクアピールをするが、突然「オレはバカだな。オレが今まで日本語を話してないから、理解ができませんよね」と日本語を解禁し、「もし、挑戦したいヤツがいたら、出てください」と呼びかけるが、それでも誰も登場せず。仕方なくオメガが帰ろうとしたところ、突如、場内が暗転し、カウントダウンがスタート。そして、スクリーンに登場したのは、WWEスーパースターのクリス・ジェリコだったため、場内は騒然。ジェリコは「おまえはダイナミック、素晴らしいレスラーだ」と称えた上で、「だが、世界最高はおまえじゃない」と、手にしたオメガの写真を破り捨てると、「世界で一番、史上最高のレスラーはオレ。この世界のアルファ(頂点)だ。オレはおまえに挑戦する。ジェリコvs.ケニー、アルファvs.オメガ。オレはおまえに会いたいぜ。1.4東京ドーム、どっちが最高のレスラーか確かめようぜ」と呼びかけると、会場からは早くも「Y2J」コール。オメガも「おもしろいな。やってやるぜ」と、その場でタイトル戦を即決した。

 オメガとジェリコはともにカナダ出身。ジェリコは91年にFMWで初来日して以来、WARでは「ライオン道」として、邪道、外道とトリオを結成しており、新日本マットにも参戦。01年12月には、同じ日にザ・ロックからWCWヘビー級王座、ストーン・コールド・スティーブ・オースチンからWWFヘビー級王座を獲得し、史上初のWWE&WCW統一世界王者となる快挙を達成した。02年3月1日に神奈川・横浜アリーナで開催されたWWE初の日本公演では、メインイベントでロックと対戦。その後もWWE日本公演には何度も登場し、日本人“ユニバース”たちから熱狂的な支持を得ている。

 ギリシア文字の配列では、アルファは最初(1番目)でオメガは最後(24番目)の文字。日本では、ウルトラマンを倒した「ゼットン」(アルファベットの最後の「Z」と五十音の最後の「ん」を組み合わせた)のように、最後の方が強い例もあるが、果たして、どんな戦いになるのか。入場時から目が離せない、全世界注目の一戦となりそうだ。

スカルがジュニア王座初戴冠 次戦は4WAY戦へ

ヒロム(右)の呼びかけから、KUSHIDA(左)、スカル(左から2番目)、オスプレイの4WAY戦が決まった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 イギリス出身対決となったIWGPジュニアヘビー級選手権試合では、マーティー・スカルがウィル・オスプレイを破り、初挑戦にして初戴冠。試合後、KUSHIDA、高橋ヒロムがリングに上がって舌戦を繰り広げた結果、ヒロムの要求を受け、4WAYタイトルマッチが電撃決定した。

 オスプレイとスカルはこれまでも世界中のリングで“名勝負数え歌”を展開。キャリア5年のオスプレイは、昨年の「BEST OF THE SUPER Jr.」で優勝を果たし、今年の10.9両国ではKUSHIDAから王座を奪取と大活躍。だが、キャリア12年のスカルも今年の「BEST OF THE SUPER Jr.」公式戦ではオスプレイに勝利しており、今回のチャンスに並々ならぬ気合いを入れていた。

 両者は張り手合戦で感情をぶつけ合うと、スカルが場外でスイング式DDTをさく裂。だが、スカルも指折りからのフットスタンプ、掟破りの逆エセックスデストロイヤーで王者の心身にダメージを与え、チキンウィングフェースロックで捕獲。オスプレイもオーバーヘッドキック、トップロープに引っ掛けてのシューティングスタープレスで反撃に出るも、コークスクリューキックからのオスカッターはスカルが捕獲。そのまま丸め込んで3カウントを奪ってしまった。

 試合後、KUSHIDAがマイクを握り、次期挑戦者に名乗りを上げようとするも、場内からは大ブーイング。だが、遅れて姿を見せたヒロムには一転、大歓声が起こる。9.16広島ではオスプレイのパンチ一発でKOされ、10.9両国ではスカルの指折りにもん絶と、無様な姿をさらしてきたヒロムは、フェースガード付きのヘルメットをかぶり、両手にグローブを装着して、完全防備でリングイン。「やっとしゃべれる。うれしいな」と笑顔を見せると、「オレはもっと味わいたい。そのベルトが必要なんだよ」とベルトに熱視線を送った上で、「だったら4人でやろうよ。もっと楽しめる」と大胆要求。これに王者スカルも「やってやるよ、4WAYマッチ」とその場で呼応したことで、誰が勝つのかまったく 予想もつかない、超絶4WAY戦の実現が決定的となった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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