新たな歴史が生まれるルヴァン杯 C大阪と川崎、“あと一歩”からの脱却へ
仙台戦での逆転勝利で自信を深めた川崎
「勝負強くなったと言われるのは、タイトルを獲ってからだと思っている」と話した小林 【(C)J.LEAGUE】
アウェーの第1戦を2−3で落としたものの、ホームの第2戦は2−0とリードする。ところが、トータルスコアで4−3とリードした直後に、退場者を出してしまった。
ここで選手たちを奮い立たせたのが、浦和レッズとのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝で味わった痛みである。ホームの第1戦で3−1の快勝を飾りながら、第2戦では1−4で敗れてしまう。前半のうちに退場者を出し、10対11の数的不利に陥ったことが、予想外の敗退を引き起こした。
しかし、ルヴァン杯の準決勝第2戦は違った。退場者を出したあとに1点差に詰め寄られても、チームのメンタリティーはぐらつかない。「ACLの悔しさは無駄じゃなかった。引いたらやられるというのはみんなが思っていた」と試合後に中村憲剛が語ったように、3得点を奪う快勝で仙台を突き放したのだった。
ACLを教訓とした戦いは、ポジティブな印象を与えるものだった。それでも、キャプテンの小林悠は落ち着いた口調で話した。
「勝負強くなったと言われるのは、タイトルを獲ってからだと思っている」
カップを掲げることのできるチームはどちらか
カップを掲げることができたチームはその瞬間から、それまでと違う次元へ到達する 【(C)J.LEAGUE】
チーム最年長の中村は言葉に力を込めた。
「前半は相手の方が勝ちたい気持ちが強かった。それでも、最終的にはタイトルへの思いで僕らが相手を上回った。こういう試合をものにした体験が、チームを強くすると思う」
プロ15年目を過ごす37歳は、“あと一歩の歴史”に何度も立ち会ってきた。それだけに、仙台相手の逆転勝利に価値を見いだしたのだろう。
勝者のメンタリティーとはタイトルをつかみ取ることでチームに根ざし、新たなタイトルの獲得によって、チームを貫く芯となっていくものだ。チームの内側で膨らみつつある強い意思を、揺るぎないものにするのはC大阪か、川崎か。カップを掲げることができたチームはその瞬間から、それまでと違う次元へ到達する。