ようやくバレンシアに訪れた幸福の時 得点力が向上し、クラブの無敗記録を更新
08−09シーズンのクラブ記録を上回る
6勝3分けの勝ち点21は同25の首位バルセロナにこそ及ばないが、同20のレアル・マドリー、同19のアトレティコ・マドリーを抑えて2位につけている。しかも両者とは対戦済みで、レアル・マドリーとはアウェーで2−2、ホームで対戦したアトレティコとも、0−0で引き分けている。
11月末に行われる第13節では、バルセロナをホームに迎える首位決戦を控えている。だが、すでに前半戦ではマドリーに本拠地を置く2強と、勝ち点を分け合っただけでなく、レアル・ソシエダを3−2、アスレティック・ビルバオを3−2、セビージャを4−0で下している。今後の見通しはかなり明るいと言えるだろう。
選手たちは自信に満ち溢れている。それはザザが発した「メスタージャ(バレンシアのホームスタジアム)に来るチームは苦しむことになる」というコメントにも表れている。クラブは新たなスポーツディレクターを置くことなく、マルセリーノに選手の補強と放出の権限を一任することを決めた。それはスペインのクラブでは珍しいことである。
さらにセビージャ戦ではゲデスが大活躍した。彼は今夏にパリ・サンジェルマン(PSG)から期限付き移籍してきた選手だ。クラブは完全移籍での獲得を検討しているが、PSGは彼の獲得時に3000万ユーロ(約40億円)の移籍金をベンフィカに払っているだけに、交渉は簡単にはまとまらないだろう。
頓挫していた新スタジアム計画も再開
元々のプランでは7万人以上を収容する予定だったが、新たな設計案では6万人弱の収容に規模が縮小され、ローマのホームスタジアムであるオリンピコよりも、ビルバオのサン・マメスに近いコンセプトが打ち出された。それはフットボール以外の用途も念頭に入れながらも、何よりスタンドとピッチの距離を近くし、良い雰囲気を作り出すことに重点を置いたことを意味する。
何年も続いた迷走の時期を抜け出し、ようやくバレンシアは幸福を感じられる時を迎えた。ソシオたちの期待感は日々高まっている。
(翻訳:工藤拓)