各球団のドラフト補強は成功したか――清宮の日本ハムやオリックスに高評価!?

ベースボール・タイムズ

広島:地元の星の指名に成功!欲を言えば…

【ベースボール・タイムズ】

 甲子園6本塁打の怪物捕手・中村奨成(広陵高)の交渉権を2球団競合の末に無事に獲得。昨年のドラフトで獲得した坂倉将吾が成長しているチーム状況を考えると高校正捕手の必要性は高くはなかったが、地元スターの誕生はファンも大歓迎だろう。

 チームの年齢構成という意味では、4位で高校生外野手の永井敦士(二松学舎大付高)を指名した点を評価できる。さらに大学生2人、高校生2人の計4投手を指名して投手陣の若返りと充実を図ったが、育成で指名した3投手も含めて左腕は0人。欲を言えば、即戦力のリリーフ左腕、将来の左腕エース候補を加えてもらいたかったのだが……。

阪神:即戦力をそろえたが、高校生は1人のみ…

【ベースボール・タイムズ】

 清宮、安田という超高校生スラッガーの獲得を狙ったが、結果的には即戦力右腕の馬場皐輔(仙台大)が1位になった。さらに2位にも即戦力の左腕・高橋遥人(亜細亜大)、さらに3位に堅守俊足の内野手・熊谷敬宥(立教大)、4位にはスピードスターの島田海吏(上武大)、5位には25歳の社会人右腕・谷川昌希(九州三菱自動車)を指名。育成枠も大学生1人で、高校生は6位の牧丈一郎(啓新高)のみとなった。

 もちろんクジ運に恵まれなかったという理由があるが、21歳以下の選手が不足している編成バランスの悪さは未解決のまま。来年、再来年を考えれば悪くない指名だが、球団の育成への取り組みに関しては、今回も疑問の残るドラフトになった。

DeNA:単独指名から効果的に最多の計9人を指名!

【ベースボール・タイムズ】

 競合を避け、1位で即戦力左腕の東克樹(立命館大)の一本釣りに成功。直球のスピード、変化球のキレ、制球力も抜群。1年目からの活躍が大いに期待され、現有戦力の今永昇太、石田健大、濱口遥大との強力左腕カルテットの誕生は、チームの大きな武器になり得る。

 そのほか、社会人、独立リーグ、大学生、高校生を全ポジションからバランス良く指名。5位で指名した左腕・櫻井周斗(日大三高)は打者としても高い能力を持っており、今後の育成法にも注目。12球団最多の9人を指名し、その積極性も評価できる。ほぼ思い通りのドラフトだったに違いない。

巨人:投手1人のみ!野手陣が一気に若返り!?

【ベースボール・タイムズ】

 清宮、村上を外し、即戦力右腕“東都のドクターK”鍬原拓也(中央大)を1位指名。1年目からの即ローテ入りが期待できる存在だ。そして、2位以下では社会人4人、大学生2人、高校生1人の計7人の野手(捕手2人、内野4人、外野1人)を指名。さらに育成枠でも計8人(投手2人、捕手2人、内野2人、外野2人)を指名した。

 依然として21歳以下の穴は埋まり切ってはいないが、これでチーム最大の課題だった野手陣の若返りは確実に進むだろう。だが、量だけで穴をふさいでも、そこに質が伴わなければ、再びすぐに穴はできあがる。今後のコンバートがあるにせよ、育成を含めて捕手4人指名もバランス的にいかがなものか。球団の育成法が再び問われることになる。

中日:捕手指名に失敗も結果的には満足か!?

【ベースボール・タイムズ】

 1位で中村を狙ったが、2分の1の確率で交渉権獲得に失敗。即座に最速157キロ右腕・鈴木博志(ヤマハ)の指名に切り替えた。1年目から期待したいが、まだ20歳。将来のエース候補として大切に育てたい。さらに2位で石川翔(青藍泰斗高)、4位で清水達也(花咲徳栄高)と将来性豊かで魅力的な右腕2人の指名に成功。

 高校生外野手の伊藤康祐(中京大中京)も地元出身のスターとして成長が期待される。外野の若返り、そして未来の正捕手候補の宿題は残ったが、全体的には十分に満足、今後の成長次第で大成功になり得るドラフトになったと言えるだろう。

ヤクルト:“打てる捕手”村上+右腕4人で底上げを図る!

【ベースボール・タイムズ】

 清宮を外した後、高校通算52本塁打の強打の捕手・村上宗隆(九州学院高)の交渉権獲得に成功。運動能力抜群で体格的にも恵まれ、将来のスター選手として大きな期待を持てる。そして2位以下では投手を計4人指名。その全員が右腕で、2位・大下佑馬(三菱重工広島)は先発として、3位・蔵本治孝(岡山商大)はリリーフとして、1年目からの活躍を求めたいところ。

 6位の宮本丈(奈良学園大)も注目の一人。欲を言えばもう1人、2人、高校生投手、高校生外野手を指名してもらいたかったが、全体的には納得できる指名。チームは確実に底上げされるはずだ。

(文・三和直樹、グラフィックデザイン・山崎理美)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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