各球団のドラフト補強は成功したか――清宮の日本ハムやオリックスに高評価!?

ベースボール・タイムズ
 2017年プロ野球ドラフト会議が26日に行われ、注目の早稲田実・清宮幸太郎は高校生としては最多タイ7球団競合の末に北海道日本ハムが交渉権を獲得した。また、清宮と並ぶ左の強打者・安田尚憲(履正社高)は千葉ロッテ、甲子園記録となる1大会6本塁打の中村奨成(広陵高)は広島が交渉権を得ている。

 各球団がどんなドラフト戦略を立てて指名していったのか。右投手、左投手、捕手、内野手、外野手別の年代構成をもとに、それぞれどんな補強をしたのか振り返っていきたい。

ソフトバンク:3度のハズレも育成力に期待!

【ベースボール・タイムズ】

 今年の残りクジには運がなく、清宮、安田、馬場と立て続けに外した。結果的に1位で本格派右腕の吉住晴斗(鶴岡東高)を指名して将来性にシフトチェンジした形。育成枠で6人(投手3人、内野手2人、外野手1人)を指名したが、現有戦力が充実しているだけに本指名は5人と12球団で最も少なかった。

 だがその中でも、不足していた高卒外野手として3位でスラッガー候補の増田珠(横浜高)、やや手薄な左腕の補強としてU−18野球W杯でも活躍した“怪腕”田浦文丸(秀岳館高)の指名に成功し、サブマリン投手の2位・高橋礼(専修大)も楽しみな存在。球団自慢の育成力に期待するドラフトとなった。

西武:第一優先だった即戦力左腕の指名に成功!

【ベースボール・タイムズ】

 投手4人に野手2人という指名。チーム最大の補強ポイントが左投手だったことを考えると、1位で田嶋を外した後にも果敢に即戦力サウスポーの齋藤大将(明治大)を指名したのは納得できる。変則フォームから繰り出すスライダーは一級品。連投も可能で1年目からのフル回転に期待したいところだ。

 2位で高校生外野手の西川愛也(花咲徳栄高)を指名するなど将来性重視の内容になったが、現状ではやや小粒の感は否めないのも確か。そして年齢構成的に不足していた高校生左腕、そして高校生捕手(育成枠で大学生捕手を1人指名したが…)を加えることができなかったことがマイナス。3位の伊藤翔(徳島インディゴソックス)が早い段階で頭角を現せば面白いが……。

楽天:即戦力右腕&右の大砲を指名!

【ベースボール・タイムズ】

 清宮、村上と連続でクジを外した結果、1位で近藤弘樹(岡山商科大)を指名。スタミナ豊富で完投能力があり、1年目からのローテ入りに期待したい即戦力右腕だ。そして2位にはチーム待望の右の大砲・岩見雅紀(慶応義塾大)、同じく課題の左腕として渡邉佑樹(横浜商大)を加えた。

 チーム状況を考慮した上で全体的に野手中心の指名となったが、その中で3位の山崎剛(国学院大)は左の巧打者で守備も堅実とあって1年目から期待。補強ポイントだった高校生内野手として、6位指名の西巻賢二(仙台育英高)の成長も楽しみだ。できれば高校生左腕を手に入れたかったが、そこは来年への宿題としておこう。

オリックス:大成功の上位2人!3位下位もほぼ完璧!?

【ベースボール・タイムズ】

 抽選11連敗中だったトラウマを乗り越え、今ドラフトのナンバーワン即戦力である田嶋大樹(JR東日本)の交渉権を見事に手に入れた。2位でも同じく即戦力の社会人右腕・鈴木康平(日立製作所)の指名に成功し、この上位2人だけを見ても今ドラフトの“勝ち組”と言えるだろう。田嶋が左腕という点も、チームバランス的に◎だ。

 さらに、3位以下でも、4位で将来性豊かな高校生右腕・本田仁海(星槎国際湘南高)に加え、5位で捕手の西村凌(SUBARU)、6位で外野手の西浦颯大(明徳義塾高)とチームの穴だった箇所をピタリと埋めた。積極的に計8人を指名。その人数だけでなく、質においても、ほぼ完璧なドラフトだったのではないか。

日本ハム:話題性トップ!理にかなった指名!

【ベースボール・タイムズ】

 7球団競合の末、「感動しました」(栗山英樹監督)と1位で清宮幸太郎(早稲田実)の交渉権を獲得。数十年に一人と言える“球界の宝”の指名成功で、またもやドラフトの主役になった。同時に2位では即戦力の社会人右腕の西村天裕(NTT東日本)を指名し、不足気味の左投手として5位で北浦竜次(白鴎大足利高)、さらに東京大史上最強左腕として注目された左腕・宮台康平を7位で指名。

「怪物・清宮」&「秀才・宮台」で、話題性だけでも間違いなく12球団トップ。現チームに若手野手が充実する中、投手を計5人指名する理にかなった指名だったと言えるだろう。

ロッテ:外れ1位で安田!2位以下は全員社会人!

【ベースボール・タイムズ】

 清宮こそ外したが、それに匹敵する逸材である安田尚憲(履正社高)を引き当てた。早い段階で正三塁手に定着できれば、既存戦力と合わせても楽しみな内野陣ができあがる。そして2位指名の藤岡裕大(トヨタ自動車)には、その安田よりも早くチームの穴を埋める活躍を期待したい。

 課題の左腕として3位で山本大貴(三菱自動車岡崎)、6位で永野将司(ホンダ)を加え、即戦力外野手として菅野剛士(日立製作所)を指名。2位以下の4人は全員社会人で若返りという点ではやや不満が残ったが、その分、1年目から勝負するという新指揮官の気概を感じるドラフトになった。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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