石浦が経験を生かして強さを発揮 スーパーフォーミュラ2度目の王者

吉田知弘

スーパーフォーミュラ2度目の王者となった石浦宏明 【写真:吉田成信】

 今年も熱戦が繰り広げられた全日本スーパーフォーミュラ選手権。最終戦鈴鹿(10月20日〜22日)でのチャンピオン争いに注目が集まったが、残念ながら台風21号の接近により決勝レースが中止になった。その結果、ドライバーズタイトルでは石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が2015年以来となる2度目のチャンピオンを獲得し、チームタイトルではP.MU/CERUMO・INGINGが2年連続で王座に輝いた。

 台風接近と秋雨前線の影響で金曜の練習走行から雨模様となった鈴鹿サーキット。土曜を迎えると雨脚はさらに強まり、朝のフリー走行からクラッシュやコースオフするマシンが続出。赤旗が立て続けに出される波乱の展開となった。

 午後の公式予選は結果的に悪天候等の影響でQ1のみで終了することとなり、第6戦時点でトップに立っていた石浦のチャンピオンが決定。F1デビューを果たし、スーパーフォーミュラでもチャンピオン獲得の期待が高まっていたピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)は、最終戦を戦わずして王座を諦めなければならない、つらい内容となってしまった。

石浦、ガスリーとも複雑な表情

 もちろん、シリーズチャンピオンの記者会見に登場した石浦も複雑な表情を見せた。「(中止が知らされる)直前まで翌日の決勝をどう戦おうか考えていた」と語り、ガスリーもやはり納得がいかない様子で「本当ならば、最後までちゃんと石浦選手と戦いたかった。それが本音。決勝レースがキャンセルされるというのは残念」とコメント。それでも「自分がどうすることもできない状況下で、0.5ポイント差でチャンピオン獲得への挑戦を諦めなければならない。すごくつらいことだよ。もちろん、こんな経験は今までになかった。でも、この気持ちを経験できたことは、一つの収穫だったと思う」と前向きに捉えようとしていたところは、印象的だった。

 ドライバー、チームのみならず関係者やファンからも、最終戦の決勝レースで決着を見たかったという声が多数上がっていた。特にガスリーやフェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LE MANS)といった有力な海外のドライバーも参戦し、注目を集めていただけに、最後は決勝レースをしっかり行っての決着を見たかったのが本音だろう。

 しかし、それでも今シーズン全体を振り返ると、石浦が一歩リードしていた部分が多かった。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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