イングランド戦で見せた00ジャパンの原点 “森山イズム”を体現するも、無念の終戦
鍛え抜かれた森山イズムを表現したが……
後半15分過ぎからは、足が止まってきたイングランドに対し日本が流れをつかんだが…… 【佐藤博之】
そして迎えた後半、特に15分すぎからは日本の時間帯が始まる。徐々に足が止まってきたイングランドに対し、日本は快足ドリブラーの椿直起(横浜FMユース)をプラン通りに投入して攻勢を強める。ここからの好機の数で日本が上回る流れはまさにプラン通り。「原点」に加えて、そこから取り組んできた時間帯や状況に応じて試合を運び、戦い方を変えていくという、チームとして積み上げてきたモノをしっかり表現することに成功した。
ただ、ゴールは遠かった。イングランドの守備陣も伝統そのままのハードな守りで最後の一線は割らせない。止まりかけた足を奮い立たせて、一度は抜かれた選手がボールホルダーに追いすがるなど、彼らの持つプライドと鍛え抜かれたベースの高さもあらためて実感させられる時間だった。それは日本の選手にとって、間違いなく、とても幸福な時間でもあった。世界最強クラスのチームと、本気で殴り合えていたのだ。
「選手の戦う姿というか、最後まで諦めずにボールを追いかけて本当に極限まで戦ったという、その姿に心打たれました。格上の相手に対して、我慢しながら皆で声を掛けながら集中して、声を掛け合って戦って、こっちに流れを持ってくる。組織的な部分は見せることができました」(森山監督)
すべてを出し切ったものの、無念の終着点を迎える
「選手の姿に心打たれた」と森山監督がねぎらうほど、イングランド戦で日本はすべてを出し切った 【佐藤博之】
「負けたということは足りなかったところがあるということ。それがこれからの宿題。選手たちは全員大泣きしていましたが、その涙をこれからの大きな成長のエネルギーにしてほしい」
“ゴリさん”こと森山監督はそう言って、「本当に誇らしい選手たち」に最後のエールを送りつつ、会場を後にした。21名の選手たちはもちろん、ここに来られなかった選手たちを含め、彼らの本当の戦いはここから始まっていく。チームとしての彼らの戦いはこれで終わりとなるが、彼らの人生はもちろん、サッカー人生だけでも道半ばであることは、あらためて言うまでもない。