【ボクシング】ゴロフキンら3強君臨 井上もランク入り 強さ指数「PFPランク」に大きな変化
メイウェザーやウォードの引退 上位勢に変化
体重が同一と仮定したボクサーの強さ指数「パウンド・フォー・パウンド」の上位勢に変化。クロフォード(右)は、米国ボクシング記者協会が選ぶランキングでトップに 【(c)NAOKI FUKUDA】
フロイド・メイウェザー(米国)が一線を退いてからはスーパーフライ級のローマン・ゴンサレス(30=ニカラグア)が現役ナンバーワンの評価を受けていたが、今年3月と9月に連敗。代わってライトヘビー級3団体王者のアンドレ・ウォード(米国)がトップに躍り出たが、そのウォードは9月に引退を表明した。こうしたなかスーパーライト級のテレンス・クロフォード(30=米国)とスーパーライト級のワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ)が上位に割り込んできた。
「PFP」はもともと遊び心から生まれた仮想ランキングで、選考に厳密な基準や規定があるわけではない。対戦相手のクオリティーや結果をみて総括的な強さを客観的かつ私的に評価したものと言っていいだろう。よってPFPのランキングもさまざまなメディアや識者が独自に作成している。
ただ、階級や団体の増加にともなって世界王者の数が膨れ上がった現在では、このPFPランキングはボクサーを評価する際の指標として重要視されるまでになっている。誰が本当に強いのか、PFPランキングをみれば一目瞭然だからである。
このほど米国のボクシング記者協会「BWAA(Boxing Writers Association of America)」が独自に選んだ現役選手のPFPランキングは以下のとおりだ。
<米国ボクシング記者協会>
1位 テレンス・クロフォード(米国)/スーパーライト級
2位 ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)/スーパーフェザー級
3位 ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)/ミドル級
4位 サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)/ミドル級
5位 ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)/スーパーバンタム級
6位 マイキー・ガルシア(米国)/ライト級
7位 キース・サーマン(米国)/ウェルター級
8位 エロール・スペンス(米国)/ウェルター級
9位 井上尚弥(大橋)/スーパーフライ級
10位 セルゲイ・コバレフ(ロシア)/ライトヘビー級
もともとクロフォードは高い評価を受けていたが、8月にスーパーライト級の主要4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)王座を統一したことが決め手になってナンバーワンの座を射止めたといえる。ロマチェンコは昨年6月に2階級制覇を成し遂げてからは手のつけられない強さ、巧さを見せつけている。また、9月に対戦して引き分けたゴロフキンとアルバレスが3位、4位と上位に名を連ねている点も興味深いところだ。ランクインしているのは世界王者がほとんどだが、アルバレスとコバレフは現在は無冠だ。それでも十分な実績があるため高評価を受けている。
井上尚弥、3つのランクでトップ10入り
ゴロフキンは、リング誌とESPN電子版のランキングで1位に 【(c)NAOKI FUKUDA】
<リング誌>
1位 ゲンナディ・ゴロフキン
2位 テレンス・クロフォード
3位 ワシル・ロマチェンコ
4位 ギジェルモ・リゴンドー
5位 セルゲイ・コバレフ
6位 サウル・カネロ・アルバレス
7位 マイキー・ガルシア
8位 井上尚弥
9位 エロール・スペンス
10位 シーサケット・ソールンビサイ(タイ)
<ESPN電子版>
1位 ゲンナディ・ゴロフキン
2位 ワシル・ロマチェンコ
3位 テレンス・クロフォード
4位 サウル・カネロ・アルバレス
5位 キース・サーマン
6位 エロール・スペンス
7位 ギジェルモ・リゴンドー
8位 マイキー・ガルシア
9位 セルゲイ・コバレフ
10位 井上尚弥
いずれも3位内にゴロフキン、クロフォード、ロマチェンコが名を連ねており、順位はともかくとして、この3人が現役のPFPベスト3といってもいいだろう。この3強のひとり、WBO世界スーパーフェザー級王者のロマチェンコと、同じく10傑に選ばれているリゴンドーが12月9日、米国のニューヨークで対戦することが決まっている。この試合の勝者が一気にトップに躍り出る可能性もある。
また、3つのPFPランキングで井上がすべてトップ10内に入っている点にも注目したい。メンバーのなかでは最も若く(24歳)、最も多くの可能性を秘めている選手といっても過言ではないだろう。
「どんどん強い選手と戦っていきたい」という井上の希望どおりのマッチメークが実現して勝ち抜けば、さらに上位に食い込んでいくはずだ。
Written by ボクシングライター原功
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