葛藤し続けた岡崎慎司のプレミア2年目 残留に貢献も、得点は物足りない結果に

田嶋コウスケ

今季のレスターを支えた自負はあるが……

16−17シーズンの岡崎はプレミアリーグで21試合に先発。3ゴールとストライカーとしては物足りない結果に終わった 【写真:アフロ】

「自分の思い描く理想像」と「チームから求められる役割」のはざまで葛藤した2016−17シーズンだった。

 レスター在籍2季目の岡崎慎司は、プレミアリーグの38試合中21試合に先発し(出場は30試合)、3ゴールを挙げた。昨季の「先発数28試合(出場36試合)、得点数5」からいずれも数字を落とし、ストライカーとしては物足りない結果に終わった。

 その一方、「チームプレーヤー」としての評価は、昨季と変わらなかった。成績不振を理由にクラブを解雇されたクラウディオ・ラニエリ前監督のもとでは控え扱いになったが、後任のクレイグ・シェイクスピア監督は、岡崎の献身性やハードワークを高く評価。先発メンバーに復帰させ、岡崎を軸にしたプレッシングサッカーの原点に立ち返って、チームも降格のピンチを脱した。

 実際、岡崎が出場した試合はチームパフォーマンスが向上し、勝率も上がった。「シェイクスピア監督が指揮を執り始めてから、自分のことを重要だと思ってくれた」と、岡崎も縁の下の力持ちとして、今季のレスターを支えた自負はある。

 しかしストライカーとしては、シェイクスピア政権でも絶対的な信頼をつかめなかった。イングランド人指揮官が指揮を執り始めた2月27日以降、前半の45分間だけで交代を命じられたのは公式戦で3試合に及んだ。いずれの試合も、ゴールを必要とした状況で真っ先に交代を命じられたのが岡崎だった。そのたびに、日本代表FWは「『俺、何やってんだろう』と思ってしまう」と表情を曇らせた。

ゴールが欲しい状況で交代を命じられる悔しさ

岡崎はゴールが欲しい状況であっさりと交代を命じられることに悔しさを感じていた 【写真:ロイター/アフロ】

 象徴的だったのが、今シーズン最大のビッグマッチになった4月のアトレティコ・マドリーとのチャンピオンズリーグ準々決勝だ。ホーム&アウェーの2試合で先発したが、いずれもハーフタイムで交代を命じられた。試合後、岡崎は思いの丈をぶつけた。

「悔しいのは、チームがゴールを取りたい時に交代させられること。そして、チームが勝ちを狙いにいって戦術を変更する中に、自分が入っていないことです。『戦術的な理由により前半で交代』と言われても、やっぱり悔しい」

 前半だけでの交代は、5月18日のトッテナム戦でも起きた。その5日前に行われたマンチェスター・シティ戦で豪快なボレーシュートをたたき込んでいたが、それでもシェイクスピア監督は2点のリードを許して迎えたハーフタイムに岡崎の交代を命じた。追いかける展開でベンチ行きを命じられれば、ストライカーとして面白いはずがない。

「前の試合で点を取っていたから、自分の可能性に懸けてほしかったけれど、それでも結局、今の立ち位置は変わらないわけじゃないですか。『シンジはあのゴールを決めたから、次の試合も(ゴールが期待できる)』とはならない。そういう意味では、固定のシナリオというか……。ちょっとや、そっとじゃ(立ち位置は)変わらない。

(今の立ち位置は、献身的な守備で支える)仕事人みたいなもの。こんなことは誰にもできないと、チーム内で思われている。個人的には『誰でもやればできること』だと思うけれど、誰もやらない。そういう立ち位置をレスターで確立してしまった。だけど、チームの歯車がかみ合わないと、そのピースは『必要じゃない』と判断されてしまう」

 もちろん、ハードワークや献身性が評価され、チームを残留に導いたことには岡崎も誇りを感じている。一時は降格がちらつくところまで順位を落としたが、チームは最終的に12位でシーズンを終えた。しかし、自分のプレー内容にかかわらず、ゴールが欲しい状況であっさりと交代を命じられることに悔しさを感じていた。喜びよりも悔しさの方がはるかに大きい、そんなシーズンだった。

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著者プロフィール

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。2001年より英国ロンドン在住。サッカー誌を中心に執筆と翻訳に精を出す。遅ればせながら、インスタグラムを開始

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