森山監督「逞しく戦える選手を選んだ」 U-17ワールドカップ メンバー発表会見

スポーツナビ

久保からはリベンジへの強い思いを感じた

U−20W杯を経て、久保からは「リベンジをしたいという強い思いを感じた」という 【スポーツナビ】

――菅原と瀬古はけがをしていて、菅原が入った。ユーティリティーさのある選手が増えた印象があるが。(安藤隆人/フリーランス)

 ずっと瀬古、小林を看板に185(センチ)越えのCBで、世界とも戦っていけるぞというところだったのですが、おそらく一番最初にJ1デビューするのではないかと思っていた瀬古がいなくなった。この代わりは馬場が一番手ですが、彼も1個下で経験も少ない。経験のある監物と山崎もいますが、菅原が真ん中もやらないといけない。そうするとまたSBが足りなくなり……と結構いろいろな状況を考えた中で、メンバー選考をすることになりました。ただ、これまでの遠征でも、FWとCB以外(の選手)は2つぐらいポジションを経験させていたので、そういう意味ではすんなりとやってくれると期待しています。

――日本の過去最高成績はベスト8だが、今大会の目標は? また最終合宿で詰めていく部分は?

 目標は、選手には最後、決勝のピッチでファイナリストとして7試合を経験させたいです。3試合で終わるのか、7試合で終わるのか。世界の強豪と上位を争うというのは、かけがえのない経験になる。この年代の国際経験は何年か後の日本代表の力になってくれるはずですし、1戦でも多く戦わせたいです。

「違うだろ。優勝だよ!」と思っている選手は何人もいると思いますが、一足飛びで登ろうとすると必ず階段を踏み外してしまう。僕は必ず最初にファイナリストになろうと掲げていますが、初戦が大事だと選手たちに話します。まずはグループリーグを突破する。大きな目標を置いておいて、一戦必勝でやらなければいけないと。どことやってもいい勝負をする自信があっても、そこを勝ち切れる確信は何もない。グループリーグもホンジュラスやフランスなど、強豪チームとやってどう転ぶかは分からない。決勝トーナメントにいけば、即優勝候補と当たることもあるので、一戦必勝でやっていきたいと思います。

 事前合宿では、これまでやってきたことの確認と、トレーニングマッチでは最後のゲームは浜松大さんにお願いしていますが、その前は練習の中でいろいろなシチュエーションを試してみたいと思います。引いた相手やプレッシャーをかけてくる相手、こっちも形を変えるなど、いろいろな状況設定の中で高校のチームを相手にゲームをやってみたいと考えています。

――一戦必勝ということで、グループリーグで戦う3カ国とどのように戦うのか?

 ホンジュラスは試合によっていろいろと形を変えてくるし、人の配置も変えてくるので読みづらい。前線の選手が身体能力が高くて1人で突破してくるので、そういう選手に個で突破されると厳しい戦いになる。米国と予選を戦い、北中米カリブで3位。米国戦でも5−4−1でしっかり守って、したたかにサイドの速い選手を利用しカウンターを狙ってくるので、攻めあぐねた時に一発を狙われる可能性がある。そういうのをしっかりと準備しなければいけないと思っています。

 フランスは皆さんすでによくご存知だと思いますが、どの年代も若い選手、(キリアン・)ムバッペなど世界的にうまい選手が次々に生まれてくる国です。当然簡単な試合ではないと思っています。U−15の時に一度対戦しているが、その時とメンバーはほとんど変わっているので、まったく参考にならない。選手が次々と出てくるチームなので、情報収集(の必要性)もあるが、初戦で試合を見ることができます。ただ、引いてしまったりとか、相手をリスペクトするとかではなく、互角に殴り合う気持ちで戦いたいと思います。

 3戦目はあえて情報を集めていません。1戦目、2戦目に集中して、向こうに入ってから考えたいと思っています。3戦目はある程度勝ち点がある状態でいけたらいい状態になる。ただ、これは“捕らぬ狸の皮算用”なので、初戦が重要ですし、2戦目も重要だと考えています。

 インターナショナルカップも初戦でオランダに負けて、そこから逆転優勝しました。新潟国際でもクロアチアに先制されて、ようやく1点取って引き分けに持ち込んで、そこから1位突破ができました。初戦が悪くても、そこから挽回できるということで、3戦トータルで、しっかりと勝ち上がる準備をしていきたいと思います。

――このチームの持ち味、良さや特色があれば教えてほしい。久保はU−20W杯で悔しい思いをしたが、このチームに落とし込もうとしているものはどういうことか?

 このチームは発足当時からおとなしいやつ、戦えないやつはいらないと言っていますが、大分浸透してきていると思います。「自分の武器、良さを出せ」といつも選手には言ってきている。いろいろなコンビネーションや戦術がありますが、ベースがしっかりできた中で、自分の持ち味を思う存分出して、この大会でも物おじせずに自分を披露してほしいと思います。躍動感あるサッカーをするために、1人1人が攻守にアグレッシブに仕掛けていくというのは浸透していると思います。

 性格も、関西の子が多くて、ミーティングとかでもワーワーワーとなるような、今どきの子供という意味では、少しやんちゃな子が多いです。それもこっちが「意見がないなら来なくていい」と(意見を言うことを)要求してきた結果です。彼らに要求しているのは、「自分たちで編み出せ」ということです。「監督はいらない」というくらい、選手が自立してくれたら、大人としての戦闘能力というか、サッカーIQの高い選手になってくれれば僕は必要ないと思います。全員ではありませんが、主力を担う選手はかなり高いレベルでそれができるようになっていると思います。

 久保は明るくて、常に自分を出せる子です。選手の前でも「悔しい思いをしたし、リベンジしたい。何もできなかったけれど、自分がアシストができたことで、チームに少しはプラスになれた部分がある」という話をしてくれました。この大会に懸ける思いは強いと思うし、僕も大会が終わってすぐ聞いたら、「絶対にやります!」と言ってきました。「どうしようかな」といういくらいだったら、上(の世代)でやればいいと思っていましたが、彼からはこの大会で主役になって、U−20(W杯)のリベンジをしたいという強い思いを感じました。ただ、1人で気負っても仕方ないし、彼に負けないぐらいの将来性を持った子も多いので、最終的にはチームのためのエネルギーに変えてくれると思っているので、心配はしていないです。

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント