ファイナンシャル・ドーピングの危険性 “警報”が鳴り響く欧州フットボール界

マンCもPSGもFFP違反をたびたび否定

ジローナはシティグループの新たな一員となった 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 その傍ら、マンチェスター・シティは今夏スペイン1部に昇格したばかりのジローナFCを買収し、ダビド・ビジャを擁するニューヨーク・シティやオーストラリアのメルボルン・シティとともに、シティグループの新たな一員に組み込んだ。

 ジローナの経営権を握ったのはマンチェスター・シティの監督を務めるジョセップ・グアルディオラの弟、ペレ・グアルディオラだ。またマンチェスター・シティは今夏すでにリザーブチーム所属の選手を何人もジローナに貸し出している。

 マンチェスター・シティもPSGもこれまでFFP違反をたびたび否定してきた。同制度の判断スパンは3年間で、17年7月31日に1つのスパンを終えた後は20年の7月31日までに収支のバランスを調整すれば良いというのが彼らの言い分だ。

 カタールは関連企業のカタール航空を通し、フットボール界の最高機関であるFIFAにも資金援助を行なっている。ラ・リーガはそのことが公正さの妨げになる危険性についても主張している。

 ヨーロッパのフットボール界には“警報”が鳴り響いている。はたしてUEFAはどのような方策を取るだろうか。

※移籍金は推定で、日本円は17年9月8日現在のレートで換算

(翻訳:工藤拓)

2/2ページ

著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント