W杯行きに黄信号がともるオランダ代表 フリットの絶賛コメントに世論はいら立ち

中田徹

ストライカー不在でフンテラール待望論も

フランス戦で0−4の完敗を喫したオランダ。得失点差を考慮し、ベラルーシ戦では大量ゴールが必要だ 【写真:ロイター/アフロ】

 しかし、まだオランダにはかすかな可能性が残されている。10月7日、先に試合をするのはスウェーデンの方だ。相手はルクセンブルク。常識で考えればスウェーデンが楽に勝つべき試合だ。しかし、ルクセンブルクは8月31日にベラルーシに1−0と勝った後、パリでフランスと0−0で引き分けたのだ。もし、オランダ2部リーグのテルスターでプレーするゲルソン・ロドリゲスのポストをたたいたシュートが決まっていれば大金星を挙げるところだった。

 仮にスウェーデンが好調ルクセンブルクを下したとしても、オランダは結果を知った上でベラルーシと戦う優位がある。ここで、なるべく得失点差を縮めて、最後のスウェーデンとの決戦に臨みたいところだ。

 オランダのストライカー陣には不安がある。エースのヤンセンはトッテナムでの出場機会を失っており、今季のチャンピオンズリーグ・グループリーグのメンバーリストから漏れてしまった。スポルティング・リスボンでは無双とも呼べるほど活躍するドストは、なぜかオランダ代表では振るわない。フランス戦で2年ぶりに代表復帰したロビン・ファン・ペルシはひざの靭帯を痛め、フェネルバフチェの発表では重症ということだが、ファン・ペルシ自身は「3週間で治る」と主張するも、10月シリーズは望み薄だ。

 こんな窮状の中、オランダにはクラース・ヤン・フンテラール待望論も生まれている。昨季、アヤックスでブレークした19歳の新鋭カスパー・ドルベリのバックアップとしてシャルケから古巣に復帰した34歳のベテランストライカーだが、どうも今季はドルベリの調子が上がらず、フンテラールの出場機会が思いのほか増えそうなのだ。アヤックスの試合を見ていると、やはりフンテラールのプレーの質そのものは高い。

 ファン・ハネヘムのように、「10月のベラルーシ戦は未来を見据えて若い選手で臨め」という声もある。しかし、チャンスが残っている以上、最後までロシア行きを目指すというのがプロだろう。大量ゴールが必要とされる中、フンテラールにかけてもいいのではないだろうか。

 今回のフランス戦は木曜日開催ということで、あまり試合に向けての準備時間がとれなかった。しかし、今度のベラルーシ戦は土曜日開催だ。移動を含めても時間はある。オーソドックスなプランAから、大量得点を狙うプランBまで、しっかり準備して10月シリーズに挑みたい。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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