安定感取り戻した前田健太に再び試練!? プレーオフで先発ローテに入れるか

丹羽政善

カーショー、ダルら先発4人は確定

プレーオフの先発ローテーションに入るのは、絶対的エースのカーショー、シーズン中にトレードで移籍してきたダルビッシュ、ウッド、ヒルの4人でほぼ決まりとのこと 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 しかし、そんな前田に、プレーオフでも先発のチャンスが与えられるかといえば、その可能性は低い。チームは今後しばらく6人で先発ローテーションを回す予定で、前田はそこで先発を外れることはないが、プレーオフとなると別。残念ながら彼は、ローテーションの構想には入っていない。31日の結果が悪かったからではなく、もちろん決定打になった可能性はあるが、仮にその試合で好投していても前田は構想外だった。

 地元紙の一つ、『オレンジカウンティ・レジスター』のビル・プランケット記者が、こう解説する。

「プレーオフのローテーションは、故障がない限り、クレイトン・カーショー、ダルビッシュ有、アレックス・ウッド、リッチ・ヒルでほぼ決まりだ。前田が今後、いくら頑張っても、そこに食い込むのは厳しい」

 カーショーは絶対的なエース。ダルビッシュは、プレーオフ2番手としてドジャースが獲得した選手である。ヒルとウッドにはムラもあるが、ヒルは先日、あわや完全試合かという素晴らしいピッチングをした。ウッドは今季14勝2敗、防御率2.57と好成績を残している。現状、カーショー、ダルビッシュ、ウッド、ヒルの順でローテーションが組まれており、これがそのままプレーオフのローテーションと捉えることもできる。

プレーオフの役割はロングリリーフ!?

 もっとも、実績がありながら、先発ローテーションから漏れると見られているのは前田だけではない。8月30日の試合では、4回を投げて8安打6失点と打ちこまれたものの、それでも後半は7試合に先発して、2勝1敗、防御率2.77だった柳賢振、前半は活躍したベテランのブランドン・マッカーシーらもローテーションから外れる予定だ。いずれも他チームなら、十分にプレーオフでも先発を任されそうだが、見方を変えれば、ドジャースのトップ4人は、それだけ素晴らしいということでもある。

 前田らはさらに、プレーオフのロースターから外れる可能性もある。先ほどのプランケット記者によれば、ドジャースは、プレーオフの先発陣にケガ人が出るなど不測の事態に備え、ローテーションから外れた先発投手の一部をアリゾナのキャンプ施設で待機させ、10月10日から始まるフォールリーグで先発させながら、状態を維持させる意向だという。

 現状、前田のプレーオフでの役割は、先発が早いイニングで崩れた場合のロングマンと見られているが、信用しているからこそ前田をアリゾナで待機させる、という選択肢もドジャースにはあるのではないか。そう書けば聞こえはいいが、前田は10月に再び、理不尽な役どころを求められるのかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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