安定感取り戻した前田健太に再び試練!? プレーオフで先発ローテに入れるか
7月中旬から先発復帰
7月下旬から先発ローテに復帰し、安定感を取り戻しているドジャース前田。今回の原稿では、今後プレーオフでどのような役割を求められているのかを探る 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
「アァ〜ヒミツネ」
地元記者が、今度は片言の日本語で答えると、前田は苦笑で応じる。先発予定日を探る日本人記者の前では、ということのようだが、そういうことがニュースになったのは過去の話。実際、翌日の先発が決まっていたが、ある時から、その地元記者と前田の間で、そんなやり取りが交わされるようになったそうだ。
その前田だが、いまやすっかり先発陣の一員である。後半に入り、7月19日に先発すると、そのままローテーションに加わり、しかも結果を残してきた。
8月31日のダイヤモンドバックス戦こそ、3回を投げて8安打、7失点でKOされたが、それまでの7試合では、39回1/3を投げて、5勝1敗、防御率2.52、被打率1割8分1厘とリーグでも屈指の安定感を誇った。
先月25日、ブリュワーズとの試合後には、一時期は前田を先発ローテーションから外したドジャースのデーブ・ロバーツ監督もこう話している。
「マエダは慎重に行き過ぎるときもあったが、彼が積極的に攻めている時は、特別だ。それぞれの球、制球は素晴らしい。もし彼が、自分の球をこうして信じて投げ続けられれば、メジャーの打者をこれからも抑え続けるだろう」
首脳陣は負けず嫌いの性格を評価
序盤は結果が出ず、6月4日の試合を最後にリリーフに回った前田。その後、ケガ人などが出れば先発を任され、そこで結果を残しても、次が保証されないという状況が続いた。その間、起用が不定期のため、調整のリズムさえつかめない。それでも集中力を切らすことはなく、先発で起用されれば、前田は答えを出し続けた。
その裏には期すところもあったのではないか。初めてリリーフ登板し、4回を3安打1失点に抑えると、初セーブをマークした6月9日の試合後、前田はそれを素直に喜ぶことを拒否した。
「そんなにうれしくない」
8月25日のブルーワーズ戦後、NHKのインタビューでは、「リリーフに回って少し力強さが戻った」と答えたが、その前に「あんまり、こういうふうに言いたくないんですけど」と前置きしたあたりに、彼の意地が透けた。
ただ、そうしたむこう気の強さ、負けず嫌いの性格を、いまやドジャースの首脳陣はプロ向きのメンタリティだと、評価しているのではないか。