長谷部、W杯は「誰にでもチャンスある」 最終予選 オーストラリア戦後のコメント

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W杯出場を喜んだ長谷部(右)だが、「誰1人、W杯の切符はまだつかんでいない」と本大会に向けて気を引き締めた 【写真:高須力】

 サッカー日本代表は31日、埼玉スタジアム2002でワールドカップ(W杯)アジア最終予選オーストラリア戦に臨み、2−0で勝利。6大会連続となるW杯出場を決めた。日本は前半41分、左サイド長友佑都からのクロスに浅野拓磨が合わせて先制すると、後半37分に井手口陽介がミドルシュートを決めて快勝した。

 この試合、ゴールを決めた浅野は22歳、井手口も21歳とリオデジャネイロ五輪世代の若い2人が活躍した。浅野は「僕たち(若い選手)が自信をもって日本のために戦う時代にしていかないといけない」と決意を語り、井手口も「リオ組がもっともっと活躍していけるようなチームになっていけばいい」と語った。

 一方で33歳とベテランの長谷部誠は「誰1人、W杯の切符はまだつかんでいない」と気を引き締め、W杯に向けて「メンバーの固定はないと思うし、本当にいい意味で誰にでもチャンスがある」と競争を歓迎した。

長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)

「誰1人、W杯の切符はまだつかんでいない」

 とにかく勝ててホッとしています。2年間という長い予選のなかで紆余曲折がありましたけれど、最終的にみんなで結果を得られたというのは非常にうれしいです。

 前回(2013年のW杯ブラジル大会出場を決めたオーストラリア戦、1−1)は引き分けでもいい状況でしたし、どちらかというとずっと自分たちが攻めていて、不運な失点から最後PKで追いついたという形でした。今日の試合に関しては非常に苦しいゲームでしたし、そのなかで我慢して、効率良く点を取って(勝った)。美しい、奇麗なサッカーではないかもしれないですけれど、戦術的な部分でこの短い時間でかなり詰め込んでやって、その結果がこういうふうに出た。あらためて、サッカーとはこういうものなのかなと感じています。

(ポゼッションを捨てて相手にもたせていた。葛藤は?)相手がつないでくるのは想定していましたし、オーストラリアはポゼッションサッカーを突き詰めるという部分で、どういう状況になろうとつないでくるというスカウティングの結果もありました。その意味では相手に多少もたせて、そこから自分たちでボールの狙いどころを定めて、プレッシャーをかけていく。そういう部分では、うまくいった部分もあるけれど、はまらなかったかなと。中盤で4対3の状況を作られたので、試合前からけっこうディスカッションはしていましたけれど、少し準備の時間が足りなかったかなと思う部分はありました。

(あいさつで来年の話はできないと言っていたが)今日の試合を見ても分かるように、若い選手が出てきていますし、結果も出してくれています。チームの活性化という部分で、競争がかなり出てきている。誰1人、W杯にいける切符はまだつかんでいない。

 あとは監督がアジアの予選を戦う中で、何というか、アジアでの戦いを割り切ってやる部分もあったと思います。アルジェリアでもそうでしたけれど、ハリルホジッチ監督はどちらかというと、戦術にかなり長けた方だと思います。(W杯ブラジル大会の)アルジェリアを見てもかなり違うメンバーを使うとか、変えていた部分がある。これから、そういう部分でもメンバーの固定はないと思うし、本当にいい意味で誰にでもチャンスがあると思います。

浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)

先制点を決めた浅野は、理想像として「常に結果を残せるような選手」を挙げた 【写真:高須力】

「常に結果を残せるような選手に」

(ゴールについて)あそこ(ディフェンスラインの裏)は常に狙っていますし、あそこで入るか入らないか。結果論の世界で、あの動きを僕は常に意識していて、今日は入った。こうして記者の人たちにも囲んでもらえる日になりましたけれど、あれが入っていなかったら何もなかったかのように忘れられるだけなので、最後の精度をどれだけ上げられるか。今日は結果に結びつけられて良かったと思います。

(最終予選2戦目のタイ戦と今回のゴール、どちらもチームにとっても節目になる場面での大きな仕事だが)注目が高いほど、「試合で結果を残そう」とより一層、燃えるものがあります。でも常に結果を残すことがどれだけ難しいかは分かっているので、次のレベルとしては大事な試合だけではなく、常に結果を残せるような選手に(なりたい)。それが当たり前になることが僕にとっての理想だと思うので、まだまだだと思います。

(本田圭佑と香川真司が出場していない中で、若い選手が結果を出した。日本サッカーにとっても大きいことだが)そんなに意識することでもないですけれど、上の人たちに頼ってばかりではダメだと思います。僕たち(若い選手)が自信をもって日本のために戦う時代にしていかないといけないという自覚はあります。リオ世代の選手も増えてきていますし、いいことかなとは思います。

(リオ世代の力を証明できた?)みんな自信は持っていると思います。でも、それが結果として出ないと答えが出ないので、今日はそういった意味では良かったと思います。けれど、まだ上の人たちには僕たちが持っていないものもあると思うので、見て学ぶことも大切だと思います。

(立ち上がりからアグレッシブだった)守備のところはチーム一丸となって意識していたので、そこは崩さないように守備から入ろうと思っていました。攻撃になったらあとは自分の特徴を生かすだけです。かみ合わないプレーはたくさんありましたけれど、その中でも動き続けることが大事だと思っていましたし、僕は本当に動くことしかできない。走ることしかできないので、そこは相手との駆け引きで常に意識していました。

井手口陽介(ガンバ大阪)

豪快なミドルシュートで2点目を決めた井手口(左)。さらなる活躍を誓った 【写真:高須力】

「リオ組が活躍していけるチームになればいい」

(ゴールシーンを振り返って)枠に入ればいいかなと思って。入るとは思っていなかったので、それで力が抜けていたんじゃないかと思います。(その前に惜しいチャンスがあったが)あれを外して、流れ的にも攻められている時間帯だったので、自分が「決めてやる」という気持ちで臨めたのが良かったと思います。

(始めからガツガツ前に出たが)それはもう監督の指示で、チームの戦術でした。自分の意思というより戦術でやりました。(前の方までいっていいからボールを取りにいけと?)そうですね。相手のボランチに僕と(山口)蛍君がいくような形で、裏の2シャドーはハセさん(長谷部誠)と、センターバックとサイドバックで見るという形でやっていました。(中盤でボールを奪って縦にいく攻撃を仕掛ける、という意図か?)そうですね。それプラス相手のダブルボランチに仕事をさせないという意思というか、戦術だったと思います。(うまくはめることができた?)前半は全然うまくいかなくて、むしろ後半の方が徐々にですけれど、はめられるようになってきたんじゃないかと思います。

(代表初ゴールについて)うれしいですけれど、頭の中が真っ白というか、あんまり。(ゴールを決めてみんなにもみくちゃにされたが)うれしかったです。

(ここまでいろいろ方にサポートしてもらったが?)僕がこうやって代表で活躍することで、育ててくれた人たちはうれしいと思うから、これに満足せず、これからもどんどん活躍すれば、みんな喜んでくれると思うので頑張りたいです。(浅野を含め、リオ世代が大事な試合で結果を出したが)やっぱりなかなか下(の世代)から出てきていなかったので、リオ組がもっともっと活躍していけるようなチームになっていけばいいんじゃないかと思います。

(自分自身の今日のパフォーマンスについて)もっと前半からいけたと思います。まだまだそのあたりが自分の中で甘いのではないかと思っています。(攻撃面で浅野にいいボールを出していたが?)それも後半からだと思います。前半から絶対にできると思うので、やっぱり90分間を通してできるような選手になっていきたいと思います。

(6月のイラク戦で一度、最終予選を経験していたが)イラク戦のアウェーとホームとでは雰囲気が全然違うので、また別物ですけれど、あまり気負わずに試合に入れたのが良かったと思います。(大きな試合だが)むしろそこはあまり意識していなくて、意識しすぎると真っ白になってしまうので、それが良かったと思います。

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