バトン、初のスーパーGTは不完全燃焼? 来季は明言せずも「レースには出たい」

吉田知弘

初のスーパーGT参戦は苦戦しながらも「楽しかった」と振り返ったバトン 【写真:吉田成信】

 8月26、27日、2017年のスーパーGTシリーズ第6戦「第46回インターナショナル鈴鹿1000km」が鈴鹿サーキットで開催。No.16MOTUL MUGEN NSX−GTからスポット参戦したジェンソン・バトンは、スーパーGTの難しさを痛感するレースとなった。

 1966年から開催されてきた伝統の鈴鹿1000km。2006年からスーパーGTのシリーズ戦として開催され数々のドラマを生んできたが、今年で最後の開催となる。その一戦に昨年までF1でフル参戦し、09年にはワールドチャンピオンも獲得したバトンがスポット参戦することが発表され、6月に2度行われたテストにも参加。大きな注目を集めていた。

 バトンは17年間ずっとF1に乗り続けてきたため、スーパーGTのような屋根のついたツーリングカーでのレースは、ほぼ初めて。彼がエントリーしているGT500クラスに加え、異なる性能を持つGT300クラスとの混走があるほか、途中はドライバー交代も必要。彼にとっては覚えなければいけないことが多かったのだが、そこは元F1王者。すぐにマシンに順応し、チームメイトである武藤英紀や中嶋大祐と遜色ないラップタイムを記録。6月末に行われた公式合同テストでも、予選を想定した新品タイヤでのタイムアタックも行い、この時点からTEAM MUGENの手塚長孝監督も予選での起用を示唆するコメントをしていた。

手塚監督はバトンをQ1に起用

 そして、いざレースウィークに突入。公式予選はQ1とQ2の2ラウンド・ノックアウト方式で、それぞれのセッションを事前申請したドライバーが担当しなければならないルールになっている。今回3人体制で臨むTEAM MUGENは、そのうちの2人を選出することになるのだが、なんとバトンをQ1に抜擢(ばってき)した。

 これについて手塚監督は、「当初は色々なパターンも考えていましたが、今回は予選上位を狙うために、Q1をバトン選手、Q2は武藤選手に任せることにしました。彼(バトン)のパフォーマンスはテストの時に確認できていましたし、誰が担当しても問題ないと思っていました。安心して任せられます。武藤、中嶋両選手ともにともに『バトン選手に乗ってもらって問題ない』と言ってくれているので、この布陣で上位グリッドを目指します」と意図を説明した。

 これまでのテストやフリー走行時はリラックスした表情を見せていたが、いざ予選のタイムアタックとなると、バトンの表情も一変。テレビのインタビューも受けず、集中力を高めていた。

 上位8台が次のラウンドに進出できる15分間のQ1。予選で使用したタイヤを決勝でも使わなければいけないため、温存のためにGT500クラスは一発勝負のタイムアタックが主流となっている。

 残り7分20秒でコースインしたバトンはしっかりタイヤを温めてタイムアタックに突入。東コースのセクター1ではライバルと変わらないタイムを記録するが、直後のデグナーカーブで、タイムアタック前だったマシンに引っかかってしまう。後半セクションで懸命に挽回するが、そこでのタイムロスが大きく1分48秒588を記録。なんとか8番手につけるが、終了時間ギリギリにライバルの逆転を許し、わずか0.089秒差の9番手、Q2進出はならなかった。

 さすがにバトンも、「2コーナーからダンロップまではスムーズにいけたけど、デグナーカーブで日産GT−Rの1台に引っかかってしまった。そこでコンマ数秒はロスしたよ。すごく残念。あれがなければ間違いなくQ2には進めたよ」と悔しそうな表情をみせていた。

 ただ、バトンは6月のテストの時から決勝を見据えた走りやデータのチェックを念入りに行なっており、「重要なのは6時間(1000km)のレース。2人のチームメイトの経験と、僕のF1での経験をうまく組み合わせて、ラップタイムをあげていきたいね」と、レースを楽しみにしていた。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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