バトン、初のスーパーGTは不完全燃焼? 来季は明言せずも「レースには出たい」
決勝では2度のペナルティーも
「まだ来年のことは分からない」とバトンはレース後に語ったが、スーパーGT参戦はあるのか? 【写真:吉田成信】
No.16MOTUL MUGEN NSX−GTは、中嶋がスタートドライバーを担当し、25周目にピットイン。バトンがマシンに乗り込むがピットアウト時に、後方からピットレーンを走行していたGT300クラスのマシンと交錯。幸い接触は免れたが、ピットレーンを走行する車両を優先しなければならないルールに違反したとして、ドライブスルーペナルティを受けてしまう。
それでも、ピット作業自体は迅速に終えられていたのと、何よりピットアウトラップから好ペースで周回していたバトン。一気に3番手まで浮上し、調子も上がってきていたタイミングだけに、このペナルティは痛かった。
「ペナルティをもらった時は、少しフラストレーションがあったね。それまでは3番手を走っていたんだから。それがなければ、もっといい1日で終わっていたかもしれない」とバトン。
ただ、慣れていないスーパーGTのレースでは、鬼門の連続だった。43周目に発生したアクシデントの影響でセーフティカー導入。この最中に追い越しをしたとして2度目のドライブスルーペナルティを食らうことに。またレース後半の第5スティント担当時には右フロントタイヤがパンクするトラブルに見舞われ、予定より早くピットイン。この日は2スティントで合計40周を走ったところで、彼の担当パートは終了することになった。
ただ、全体的に自身のスティント中は楽しんで走行できていた様子。特にGT300との混走をしながら自分たちの順位争いもしなければいけないところが、印象的だったようだ。
「レース中は、考えることがいっぱいあって。300を何度もオーバーテイクしながら、500と戦うことに頭と神経を使った。2スティントなんて1ラップ差がついていたのに、それでも戦わなきゃいけないクルマが周りにたくさんいるし。なんでこんなにサーキットに車がいるんだ! って感じだった。まあそれが楽しかったわけだけどね」
「GT300は直線でスピードが出るからオーバーテイクするのは難しいなと感じたよ。でも500の車とレースをしている一方で、300に囲まれて戦うのは本当に素晴らしい体験だったよ。彼らのおかげでオーバーテイクを味わうことができた。そういった要素がレースに加わって楽しかったよ」
スーパーGTにフル参戦も否定せず
レース後は、チームと簡単なミーティングを済ませると足早にサーキットを後にしたバトン。スポット参戦とは思えないほど真剣に一つ一つのことを取り組んでおり、来年はスーパーGTにフル参戦するのではないか? とうわさも上がっている。
実際にバトンも、フル参戦についての可能性を否定しなかった。
「まだ来年のことは分からない。もしかすると参戦するかもしれないし、また別のレースかもしれない。17シーズンにわたってF1で戦ってきて、今年は少しゆっくりしたいなと思っていた。でも、今週こうしてサーキットに来たことによって、僕はレースが好きなんだなと改めて確認することができたよ。何かしらのレースに出たいなと思っているけど、まだ何も決まっていない」
「でも分かっていることはこの週末がただただ楽しかった。スーパーGTとHonda、TEAM MUGENを応援してくれる、本当にたくさんのファンに出会えたことが素晴らしかったよ」
今シーズンについては、スーパーGTをはじめ、何かレースに参戦する予定はないというバトン。しかし、初めてということもあり不完全燃焼に終わってしまったのは間違いないだろう。
来年に関する明確な回答は得られなかったが、また彼がスーパーGTにやってくることを楽しみに待ちたい。