残り日程から考えるパ・リーグ優勝争い 「逃げ切り」か「差し」か「奇跡」か

ベースボール・タイムズ

西武:エースの鬼門突破に期待

奇跡の逆転優勝を狙う西武は菊池(写真右)と山川がキーマンになる 【写真は共同】

 そして3位の西武。最大11ゲーム差があった首位との差を6ゲームの射程圏に捉えたが、奇跡を成し遂げるにはもう一度“ブースト”する必要がある。

 残りは37試合。ソフトバンク7試合(今季対戦成績7勝11敗)と楽天7試合(同11勝7敗)という上位2チームとの計14試合に加え、オリックス8試合(同7勝10敗)、日本ハム9試合(同14勝2敗)、ロッテ6試合(同14勝4敗1分け)と下位3チーム相手に計23試合を残す。もちろん上位との直接対決に勝つことが逆転優勝の必須条件になるが、それに加えて今季対戦成績で負け越しているオリックス戦もカギ。快進撃の立役者の一人である山川穂高が、オリックス戦では9試合で打率1割6分7厘(24打数4安打)と当たっておらず、本塁打もゼロ。上を見ることは大事だが、足元を疎かにすることは禁物だ。

 その山川のオリックス戦での爆発とともに、エース・菊池雄星の首位・ソフトバンク戦での快投劇も必要になる。投手3冠も狙える位置にいる今季の菊池だが、ソフトバンク戦に限っては今季3試合で0勝3敗、防御率5.71。計4本塁打を浴び、被打率も2割8分8厘と高い。森友哉も復帰して打線の充実度はリーグ随一。強力援護をバックに、エースが鬼門を突破することができれば、逆転優勝はさらに現実味を増す。

上位陣が警戒すべき2人の猛者

現在は打者として出場している日本ハム・大谷。マウンドに立ち、上位陣をねじ伏せる機会はあるのか 【写真は共同】

 その他にも優勝争いを左右する選手がいる。1人目は、日本ハムの“二刀流”大谷翔平。左太もも裏肉離れの影響により、今季の登板は7月12日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で1回1/3イニングを投げたのみ。上位陣は3チームとも強力打線がチームの売りであるが、完全復活した怪物を前にすると沈黙してしまう可能性も高い。

 もうひとり、上位陣が注意すべきはオリックス・吉田正尚。こちらは腰痛で出遅れていたが、7月9日に1軍昇格を果たすと、自慢のフルスイングで“アメージング”な活躍を見せ、ここまで28試合で打率3割6分4厘、7本塁打、15打点。8月の13試合では、打率4割5分1厘、4本塁打、7打点の好成績を残している。上位陣が吉田の一発で手痛い黒星を喫する可能性は十分にある。

 白熱の首位戦線。下位に取りこぼすことなく、直接対決でいかに先手を奪えるか。晩夏へと移行する日本列島だが、“熱パ”の盛りはまだまだこれからだ。

(三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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