サントスが明かす走り打ちの極意 ロッテファンを魅了するその素顔とは?

週刊ベースボールONLINE

ファンのためにやるべきことをやる

「投げ打ち」は「最終手段」と言うが、それをヒットゾーンに落とせるのは天性の感 【写真:BBM】

 必殺の武器は「走り打ち」だけではなかった。6月18日の巨人戦。12回表に先頭で打席に入ったサントスは、森福允彦に1ボール2ストライクと追い込まれる。森福が投じたフィニッシュブローは外に逃げるスライダー。サントスのバットが空を切った──と思った瞬間、バットが飛んだ。投げ出されたバットがボールをとらえ、ライト線への二塁打とする神がかり的なバッティング。さらに7月1日の北海道日本ハム戦でも「投げ打ち」を成功させた。

──バットを投げ出しながらのヒットも印象的です。

 それはさすがに狙ってヒットを打っているわけではないですよ。三振を避けるためについついやってしまうというか。最後の手段みたいな感じなので。バットを投げて、ボールが当たって、それがヒットゾーンに落ちてくれたらラッキー。ただ、バッティング練習でもそういうボールが来たらバットを投げて打つこともありますけどね。

──いわゆる「投げ打ち」も昔からやっていた?

 キューバ国内リーグでも、この前までプレーしていたカナダの独立リーグでも何回か成功しています。日本でも成功したのは良かったです。

──俊足を生かした外野守備でもファンを沸かせています。守備で意識していることはありますか?

 特別なことは考えていませんが、常に自分のところにボールが飛んでくるものだと思って準備しています。準備だけは絶対に遅れないように。

──肩の強さ、送球についてはどう自己分析していますか?

 自信はあります。すごくいい肩というわけではないかもしれないけど、悪くもない。平均より少し上くらいかな。でも投げることには自信があるので、トータルで守備には自信を持っています。

「110パーセントのプレーを出す」

「日本に来て、1日に1つ新しいことを学べている」と謙虚な姿勢を崩さないサントス 【写真:BBM】

──日本でプレーして約2カ月、さらにアジャストしていかなければならないと感じる部分は?

 確かにまだ日本の球団と対戦した数が少ないですからね。少しずつ自分の中では対応できてきているとは思うんですけど。もっともっと試合数を増やして、いろいろな投手と対戦して、打席数を増やしていって、試合の中で調整していきたいと思います。1打席1打席、同じ打席というのは存在しないので、その数を増やしていければ、今以上にいい成績が残せるんじゃないかなと思います。

──日本での生活も2カ月が過ぎました。慣れてきましたか?

 日本の生活は気に入っています。通訳の方とかにいろいろなところに連れて行ってもらって、日本の文化はすごく素敵だなと思うし、食事もとてもおいしいから問題がない。もっと長く住めば、もっと良くなると思います。ただ、言葉が理解できないのは大変ですね。

──そういう意味でも同じスペイン語圏のペーニャ選手やパラデス選手の存在は大きい?

 2人ともすごく僕を助けてくれています。ペーニャは日本での経験が豊富だし、パラデスも僕よりは長いので、いろいろ教えてくれる。いっしょに出掛けたりもしています。遠征中はいっしょにご飯に行ったりしますから。通訳の方も含めて、いろいろなことを教えてくれるので、1日に1つ、新しいことを学べています。それが自分の人生にとって、人としての成長にもつながっていると思っています。

──残るシーズン、チームとしては苦しい状況ですが、目標は?

 チームとしての目標を言うのは難しい状態ですよね。それでも、選手はやるべきことをやらなければならない。今できることは毎試合、勝ちにつながるプレーをして、一つでも順位を上げること。個人としては常に全力プレーを心掛けているので、そういったプレーでファンが喜んでくれればうれしいですし、「サントスはこういう選手なんだ」っていうのを知ってほしい。「もっとサントスのプレーが見たい」と思ってファンが球場に来てくれるように。そんなプレーを続けていきたいと思います。

──具体的に自分のここを見てほしい、という部分はありますか?

 もちろん一番見てほしいのはチームの勝利です。その上で自分のことを言わせてもらえるなら、バッティング、守備、走塁、スピード……すべてを見てもらいたいですけど、バッティングがダメなら守備や走塁、守備でミスをしてしまったらバッティングで取り返す。いつもファンが喜んでくれるような“何か”をしたいと思っています。100パーセントじゃなくて、110パーセントのプレーをいつもファンの前で出していきたいと思います!

 それから球場の外でも、自分の人間性とかまで見てもらえたらうれしいですね。

(取材・構成=杉浦多夢、通訳=田原大樹、写真=井田新輔、高塩 隆、榎本郁也、田中慎一郎)

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