“試合巧者”ぶりを示したサニブラウン ボルトの後継者に名乗りを上げられるか

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史上最年少で男子200メートル決勝進出を果たしたサニブラウン。しかし、本人はいたって冷静に自分自身を見詰めていた 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 記者から「史上最年少での決勝進出です」と言われると、「そうなんですか? でも、最年少で出たところで、戦えないといけないので」とあっさりの回答。周りの大人が興奮する中、誰よりも冷静に自分自身を見詰めていたのが、18歳の若者だった。

 陸上の世界選手権第6日が現地時間9日、ロンドン・スタジアムで行われ、男子200メートル準決勝ではサニブラウン・アブデル ハキーム(東京陸協)が登場。20秒43で2組2着に入り、2003年パリ大会の末續慎吾以来となる同種目決勝へと駒を進めた。

 また1組に登場した飯塚翔太(ミズノ)は20秒62で組5着となり、準決勝敗退となった。

予選よりも前半の走りに集中できた

予選の課題を準決勝では克服。前半の走りに集中し、それを実践した 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 この日は朝から雨が降りしきり、日中でも気温は15度を下回る。それでも選手たちは寒さを言い訳にせず。いつもと変わらぬパフォーマンスを見せ、淡々と目の前のレースをこなしていく。

 それはサニブラウンも同じだった。大会初日の100メートル予選の際は「少し寒かったので心配だった」と気温を気にする姿もあった。しかし、一段と冷え込んだこの日は、「(チームメイトの)クリスチャン(・テイラー/米国・男子三段跳)にもらったタイガーバームを塗って、熱々の状態でした」と笑い飛ばした。一瞬で勝負が決まる短距離走者にとって、少しの気掛かりが走りに影響してしまい、そこがほころびとなる。レースにのみ集中するという意味で、しっかりと準備ができていた証拠だろう。

 もう1つ、サニブラウンが集中できていた点を挙げるなら、課題としていた前半の走りがはまったことだ。前々日の予選の際は、リアクションタイムが0秒221と、完全に出遅れ。予選突破者25人の中で下から2番目の反応だった。その影響で、前半になかなか加速がつかない中、それでも何とか後半に挽回し、ヨハン・ブレーク(ジャマイカ)に続く組2着となって、準決勝進出を決めた。

 自分の中で反省点も多かったのか、記者の質問を受ける前に「また準決勝の時に帰ってきます」と一言だけ発し、足早に会場を後にしようとした。その後、日本陸上競技連盟の広報を通じコメントを残したが、「しっかり体をリフレッシュさせてから、レースに臨みたいです」と予選から切り替えると話した。

 スケジュール的に恵まれた感もあり、予選翌日は休養日。そして前日のコメントどおり「ほとんどベッドから動いていない」と丸1日、体を休めることにだけ充てた。それによって気持ちの切り替えに成功し、勝負となる準決勝では、課題として挙げていた前半の走りに集中することができた。

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