スルガ銀行杯での活躍を誓うR・シルバ 「亡くなった2人のためにゴールを」

渡辺達也

ACLをきっかけに「らしさ」を取り戻したい

ACLについては「自分たちの本来の力を見せるべき大きな舞台」と位置付けている 【Getty Images】

――現在のチーム状況はどうですか?

 みなさんもご存じの通り、決していい状態ではありません。ですが、下を向く必要はないと思います。自分たちを信じて、もう一度本来の自分たちの力を出すことができると思うし、最後の最後まで諦めないで戦うだけです。

――首位のセレッソ大阪とは勝ち点差が離れています。(※7月27日時点で12差)

 まだ試合が残っています。可能性が残っている以上、僕はそれを信じてプレーするだけです。浦和の選手たちは誰も諦めるなんて考えていません。

 自分たちの力を最後まで振り絞ることができれば、自然と流れを変えることができます。浦和には、そういう力があると思っています。

――リーグ戦だけではなく、ルヴァンカップ、天皇杯、そしてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)もあります。

 確かにリーグ戦は厳しい状況ですけれど、カップ戦はまだ残っています。特にACLはベスト8に勝ち進んでいますし、自分たちの本来の力を見せるべき大きな舞台でもあります。チームが一丸となって戦わなければいけないですし、ACLをきっかけに、浦和らしさを取り戻せたらと思っています。

目標は多くのタイトル獲得に貢献すること

1日1日の積み重ねでキャリアを歩んできたというR・シルバ。目標は「タイトル獲得に貢献すること」だという 【撮影:大崎聡】

――日本でプレーして3年目になりますが、将来の夢や目標はありますか? 例えば“セレソン(ブラジル代表の愛称)”に入るとか、もう一度ヨーロッパでプレーしたいとか。

 僕は1日1日を大切に過ごして、その積み重ねで自分のキャリアを歩んできました。ですから、1年後にどうしているとか、将来はこうなりたいというビジョンは持っていません。

 今の目標は、浦和の選手としてプレーさせてもらっている上で、どれだけ多くのタイトル獲得に貢献できるかということだけです。そのために、自分の成績が上がっていけばいいと思っています。

――8月15日にスルガ銀行で、母国ブラジルのクラブ・シャペコエンセとの試合があります。

 ものすごくモチベーションが高い状態です。ブラジルのチームと試合をするのも久しぶりですし、タイトルが懸かる重要な試合であり、日本のサッカーを海外に見せるきっかけにもなりますので、とても楽しみです。

――どんなプレーをしたいですか?

 自分のポテンシャル、スピード、打開力、そしてチームとしてのコンビネーションを見せたいですね。ですが、一番の楽しみは浦和のサッカーがブラジルのチームにも通用するんだということを証明することです。

 7月15日に(Jリーグワールドチャレンジで)ドルトムントと試合をさせてもらい、試合後にドルトムントの選手たちは「浦和がこんなに攻めてくるチームだとは思わなかった」と驚いていました。シャペコエンセの選手たちのことも、同じように驚かせたいです。そのためにもインパクトのある浦和のサッカーを見せつけますよ。

亡くなった2人の友人への特別な思い

R・シルバにとって、シャペコエンセとの一戦は「特別な試合」だという 【Getty Images】

――シャペコエンセというと、16年11月の飛行機事故で、たくさんの選手、チーム関係者が亡くなりましたが、この事故をどこで知りましたか?

 当時はJリーグでのシーズンを終えて、ブラジルに帰国していました。夜中に起きてテレビをつけたら、どのチャンネルも飛行機事故のニュースばかりでした。

 僕は少し寝ぼけていたので、すぐには何が起きたのか理解できませんでした。本当に信じられなかった。特にシャペコエンセの中には2人の友達がいたので、僕の中ではショックしかなかった。一度に2人の友人を亡くすなんて……。とても受け入れられませんでした。

――ジウ選手とセルジオ・マヌエル選手ですね。

 そうです。コリチーバで一緒にプレーしていました。コリチーバに住んでいた当時は、いつも一緒でした。ピッチ外でも一番、仲が良かった2人です。セルジオの方が若くて、僕と考え方が合うところが多かったので、いつも一緒に夕飯を食べに行ったり、お互いの家に行ったりという仲でした。だから、本当に悲しかった。

――R・シルバ選手にとっては特別な試合になりますね。

 特別な試合です。特別な気持ちで最初から最後まで全員、一丸となって戦いたいと思います。

――亡くなった2人のためにもゴールを決めたいですね。

 もちろんです。亡くなった2人のためにも、自分のゴールで浦和を勝利に導くことができたら最高に幸せです。いい試合をしたいと思っています。

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著者プロフィール

1957年生まれ。『週刊プレイボーイ』をはじめ、専門誌などに幅広く執筆するスポーツライター。国内サッカーに精通し、カテゴリーを問わず取材を行なっている。ワールドカップは90年イタリア大会から6大会連続で取材。近著に『名波浩対談集』(集英社)、『もう一回蹴りたかった』(望月重良共著/ぴあ)がある

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