ももクロ佐々木彩夏×三宅宏実 2人が語る『アイドルとスポーツの融合』
「私たちは5人の団体競技。個人競技の孤独さを感じました」
アイドルとアスリート――その共通点について三宅選手(左)とあーりんの答えは? 【写真:坂本清】
三宅 たぶん、これはどの分野でも共通することで、目標に向けて計画を立てて、準備をして、実行していくというプロセスは似ていると思うんです。ももクロさんもライブをするために色んな準備をされていて、それこそ体力作りをしていったりとか、ファンの皆さんのための演出など、色々なことを考えてライブを作られていると思うのですが、私たちも1つの試合に出るために準備をして、体作りをして、徐々に徐々に仕上げていくので、そういったちょっとずつ積み重ねて作り上げていくところが共通しているのかなと思います。
でも、初めてMVの舞台裏を拝見させていただいて、本当にカッコ良かったです! この1つのフレーズを撮影するのにこれだけの時間を費やして作っているんだと。ちょっとした表情であったりとか、監督さんが指示を出されていたり、求めているものを説明されていたりとか。それにももクロさんはオンとオフがすごくハッキリされていて、オンに入るとキリッと表情が変わるんです。ももクロさんのカッコ良さ、可愛さが全部出ていました。また新たな世界を見ることができて、私にはすごく刺激的でしたし、本当にすごい世界だなぁって思ったんです。もちろん厳しい世界でもありますし、プロのアイドルの舞台裏ってすごくカッコいいな、って思いましたね。
あーりん ありがとうございます(笑)。私もアイドルとアスリートさんって似てるなぁって思う部分もあれば、全く違うなぁって思うところもあるんですが、アスリートさんは試合に向けて頑張る、私たちはライブに向けて頑張るっていう、試合前やライブ前の気持ちだったり、そこに臨む思いとかはやっぱり似てるんじゃないかなと思いました。それは、私たちはマー君(ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手)とも仲良くさせていただいているんですけど、マー君の話を聞いているとちょっと似てるなぁと思ったりすることはよくあるんです。けど、やっぱり私たちは勝負じゃないので“勝ち負け”がないというのが全然違うなぁと思いますね。MVでも試合に向かうシーンを撮ったんですが、そこで私たちがライブに向かうときと最初は似ているのかなと思ったんですけど、そこに勝ち負けや、点数で出ちゃったりとか結果がハッキリとした形で出るというのは相当なプレッシャーなんだろうなって、すごく感じました。
あとは、ウエイトリフティングは個人競技ですけど、私たちは5人の団体競技みたいな感じなので、その個人競技の孤独さというか、もちろんコーチがいたりとか、支えてくれる家族はいると思うんですけど、あのステージの前に一人で立ったときに「あ、一人ぼっちだ……」というのは、MVを撮影していてすごく感じました。
三宅 そうですね、やっぱりステージの手前までは1つのチームとして向かうんですけど、階段を上がってステージの上で一人で戦わなければいかないので、その孤独さに気づくということも大切ですし、それだけ普段の練習がしっかりできていないと本番では戦えない。なので、やっぱり普段の練習が全てなのかなと思いますね。
―― 一人で戦うことの厳しさを知ることができたということは、佐々木さんとしては8月に両国国技館で開催する2度目のソロコンサート(8月25日、26日『AYAKA NATION 2017』)に向けても大きな刺激になったのではないでしょうか?
あーりん はい、5人でライブをしていて間違えちゃったりとかすると、だいたい4人が「あ、やってやんの〜」とか笑ってくれたり、カバーしてくれたりとかするんですけど、ソロコンサートではそれがないというのは、間違えちゃったらどうしよう、失敗したらどうしようっていうパフォーマンスの部分でのドキドキ感もありますし、このライブが成功するかしないかは私にかかっているんだっていう思いで臨まなきゃいけないと、改めて感じましたね。
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オリンピックメダリストの言葉に聞き入るあーりん(右)、ソロコンサートに向けても大きなヒントを得た様子だ 【写真:坂本清】
あーりん おー。
三宅 なるほど(笑)。確かにそれが全てだと思います。素晴らしいアスリートの方はたくさんいらっしゃいますが、たぶん、その方たちが持っているポテンシャルだけで行くには限界があると思うんですね。でも、そこに良き指導者に恵まれることによって、その選手の本質を引き出してもらえるというところがあるので、絶対にそこはお互いになくてはならないパートナー。1つのチームと言いますか、それによって導く方向や選択肢が変わってしまうと思うので、すごく大切な部分だと思います。
――佐々木さんも素晴らしい指導者に恵まれています。
あーりん え? 誰ですか? アハハハ(笑)。
――いや、それはもう川上プロデューサーです(笑)。
あーりん そうですね、やっぱり川上さんがああいう人だから、ももクロの5人の現場の雰囲気がいいと言っていただけたり、1つ1つの仕事にきちんと取り組んでいけば、その結果が例え小さなものでも、しっかり積み重ねていけば大きな結果につながるんだって、川上さんに教えてもらったことかなって思いますね。
――テレビなどで川上さんを拝見していると、とても面白い方という印象です。
あーりん いやぁ、ムカつくこともたくさんあるんですよ、ホントに。
三宅 私も父にそう思うことありますよ(笑)。本気でぶつかっていくこともあるんですけど、そこは赤の他人ではなくて肉親なので、肉親だからこそ言い過ぎちゃうこともあったりするんです。でも言い過ぎたことによって、親子だから和解できることもあるので、そこは他の選手とコーチという関係とはまた違う部分かもしれないですね。でも、言い過ぎちゃうことってありますよね。それで、ぶつかって、仲直りしてという感じでやってきました。
あーりん ウチでは年上の2人(高城れにさん、百田夏菜子さん)が言ってくれるので、私は「クソッ!」と思いながら拳を握りしめるだけです(笑)。私はあんまり川上さんと1対1で言い合ったりとかはしないですね、末っ子の特権です。全部、年上のお姉ちゃんに任せて、怒られるときも全部お姉ちゃんなので。
――いいポジションですね(笑)。
あーりん はい! ラッキーです(笑)。でも、それこそ5人で「今日の川上さん、ホントにうざくない?」とか「来た瞬間から機嫌悪いんだけど」とかそんな話をするときもあって、「でも、5人で頑張ろうね!」って5人の結束が固まるときもあるし、逆に……これはあんまりないですけど、5人がうまく行っていないときに川上さんが「しっかりやれよ」って気を引き締めてくれるときもありますし、やっぱりここまでやって来られているのも川上さんのおかげだなって思いますね。
三宅 今日は川上さんは来ていないんですか?
あーりん 帰った? ここには来ていないのか。いない方がやりやすいので。アハハハ(笑)。
三宅 でも、本当に面白い方ですよね。MV撮影のときにお会いさせていただいたんですけど、すごくムードメーカーと言いますか、川上さんがいるだけで場の空気が変わりますし、すごく雰囲気のある方で、とても楽しくて、すっごい面白い方でした。