Jユニ女子会に浦和の“あの選手”が乱入!? 両サポがさいたまダービーを語り尽くす
「Jユニ女子会」の発起人である浦和サポーターの木下紗安佳さん(右)と、大宮サポーターの幸菜さん 【撮影:スエイシナオヨシ】
Jリーグを愛する女性サポーターが集まり、クラブの垣根を越えて交流する男子禁制のコミュニティー「Jユニ女子会」。その発起人である浦和サポーターの木下紗安佳さんと、大宮サポーターの幸菜さんに、両軍を応援する女性サポーターにとってダービーとはどんな存在なのか、女性ならではの視点で思う存分語ってもらった。
女子会の最後には、7月1日のサンフレッチェ広島戦の後半アディショナルタイムに6人抜きドリブルから決勝点を挙げた“あの選手”が乱入!? 両サポーターに囲まれながら、さいたまダービーへの意気込みを聞かせてくれた。(取材日:2017年7月16日)
SNSがきっかけで広がった女子サポの輪
幸菜 私は7年来の大宮アルディージャサポーターなのですが、大宮には若い女性のサポーターが少ないんです。観戦の楽しさやJリーグの魅力を語り合える友達が周りにいなかったとき、もともと友人だった木下さんが浦和レッズサポーターだと知り、ライバルチームを応援する者同士だけれどサッカーの話をするようになったのが、「Jユニ女子会」誕生のきっかけです。
男性ならば周りにJリーグの話ができる仲間が見つけやすいかもしれないけれど、女性同士となると、私たちと同じようにサッカーの話題で盛り上がれる友人が見つからないという人は意外と多いのではないかと思い、15年6月に友達を集めて5人だけで女子会を開いたのが第一歩です。ただ女子会をするだけではつまらないので、ユニホームを着てひたすらJリーグについて語り合い、その様子をSNSで発信していたら、参加したいと声をかけてくれる人が増えていきました。
――今は何人ぐらい参加者がいるのでしょうか?
木下 500人ぐらいですね。Jユニ女子会のメンバーが応援するクラブの分布を見ると、J1は全クラブにサポーターがいます。クラブを応援する子もいれば、選手を追っている子もいますし、それぞれです。応援スタンスに関係なく、和気あいあいとした会でありたいというのはあります。
ダービーをヒートアップさせるDJがいたら面白そう!
浦和はネオ屋台村などのフードコートが充実している 【(C)J.LEAGUE】
木下 浦和は基本的にイベントらしいイベントがなく、ネオ屋台村(スタジアム周辺にキッチンカーがズラリと並び、多彩なグルメが堪能できるエリア)などのフードコートぐらいですよね。
――ダービーに、こういうイベントやグルメがあるとうれしいというものはありますか?
木下 イベントはいらないかも。戦いなので、わいわいとイベントを楽しんでいられる気持ちでもないのが正直なところ。当日は「席を確保して、ひと休みして、さぁ試合だ!」という感じなんです。
幸菜 ゆっくりする時間がないので、参加型よりは並んでいる間に楽しめるもの、気分が盛り上がるものがいい。
木下 ダービーの煽り合いを、いい感じに回せるBリーグみたいなDJがいたら面白そう!
幸菜 女性は普段の生活では人を煽らないけど、ダービーでは思いっきりそういうことができる。学生時代の体育祭の時のように、全身全霊で熱く感情を出す感じって、大人になるとなかなか機会がないから、自分を解放できる雰囲気をうまく作ってくれるDJがいたら面白いね。
SNS映えするクラブ色のグルメも欲しい!
「絵的に楽しめるスタグルがあると、発信する側としてはうれしい」と木下さん 【撮影:スエイシナオヨシ】
木下 クラブカラーの食べ物でもいいと思います。分かりやすいのは、ガンバ大阪のスタグル・青黒だんごとか、川崎フロンターレのすごい色のロールケーキ(とどろきロール)とか、そのクラブの色を前面に押し出したグルメ。
幸菜 SNSでも、観戦を楽しんでいる感を出しやすいのは食べ物だよね。若い女性はもちろん、男性も対戦クラブの名物グルメとピッチを写した画像を投稿しているのを見かけるので。
木下 おいしいスタグルはだいたいお肉で茶色いので、「これインスタグラムに投稿してもな……」というものしか撮れない。絵的に楽しめるスタグルがあると、発信する側としてはうれしいです。
埼玉の人だからこそ感じる選手への思い
幸菜さんがさいたまダービーで活躍を期待しているのは加藤順大選手と、金澤慎選手(写真) 【(C)J.LEAGUE】
幸菜 加藤順大選手と、金澤慎選手。大宮ファン1年目の11年は、サッカーはすごく好きだったけど、サポーターと呼べるほど大宮に対して今ほどは熱くなくて、勝てない時もひたむきに大宮を応援しているサポーターの、温かい雰囲気がいいなと思っていたんです。12年の(ホームでの)さいたまダービーで大宮が勝ち(第7節で2−0)、そのジャイキリがすごくかっこよく感じて、即レプリカユニホームを買いました。
その時の浦和のGKがノブさん(加藤の愛称)だった。思い出の試合で心に残った選手が、今は大宮に移籍してきてクラブを盛り上げてくれていますし、彼のさいたまダービーへの思いは大きなものだと思う。今年のホームゲームは出場機会がなかったので、次のダービーはぜひノブさんに出てほしいです。
慎さんは「ミスターアルディージャ」と呼ばれている選手であり、私がサポーターになった頃からいる唯一の選手。ダービーでは、彼への期待を込めて拍手や応援がとても盛り上がるし、慎さんを勝たせてあげたい気持ちがみんなすごく強い。選手よりも長く大宮に在籍しているサポーターたちの、ダービーへの思い入れはとても強いものですが、慎さんは同じ思いで戦ってくれる。
――浦和では、どの選手が活躍してくれそうですか?
木下 大宮から移籍してきた選手にはズラタン選手と青木(拓矢)選手がいますが、ズラタン選手の試合に出たらちゃんと点を取ってくれるところに期待したい。あと、まだ出番は少ないけれど、矢島(慎也)選手は埼玉出身の選手なので、浦和サポ―ターの中にも彼の活躍を待っている人が本当に多い。矢島選手がダービーという場で出られたら大きく成長するかもしれない、見られたらいいなと思います。慎さんもそうですけれど、敵味方関係なく、埼玉出身の選手には自然と注目します。
まだ足を運んだことがない方には、「真夏に美味しいビールを飲みながらサッカーを見てみませんか?」と声をかけたいです。ダービーは戦いだけれど、いい意味でお祭りだし、埼玉に住んでいるのなら地元同士の戦いをふらっと見に来てほしい。
幸菜 私にとってダービーは冠婚葬祭のひとつ(笑)。大宮サポーター側の視点ですけれど、浦和の方がどう見ても強いチームだけれど、一生懸命そこから逃げずに戦っている選手を、涙を流しながら祈りながら後押しして、勝利に向けて一緒に戦う雰囲気は一度味わうとハマるはずです。