もはや「神ってない」広島の強さ―― 前半戦独走首位ターンの戦いぶりを分析
7月7日のヤクルト戦で、9回に代打逆転3ランを放った新井(右)を出迎える緒方監督 【写真は共同】
若手が期待通りに埋めた黒田の穴
そんな状況の中、開幕戦で登板したジョンソンが咽頭炎で早々に戦線離脱してチームはいきなりの窮地に陥ったが、ここでその期待値が現実のものとなる。ポスト黒田の最右翼と言われた大瀬良大地は、ここまで14試合に先発して5勝0敗と復活の兆しを見せ、2年目の岡田明丈はリーグ5位タイの7勝(4敗)をマーク。そしてダークホースとも言えるのが、3年目の薮田和樹で、当初はリリーフからスタートしたが、好投を続けて交流戦から先発ローテ入りし、チームトップの8勝と大ブレークを果たした。
その他、先発では、4、5月に4勝した九里亜蓮や、5、6月に3勝を挙げた中村祐太、デビュー戦で9回1死までノーヒットノーランの快投を演じたドラ1ルーキーの加藤拓也ら、スポット的に若手投手が次々と結果を残した点も大きかった。
崩壊状態から立て直したブルペン
この状況で存在感を見せたのが、一岡竜司や中田廉ら、近年は故障に苦しんだ実績組のリリーバーだった。先発から配置転換した九里も含めて、ビハインドの展開やロングリリーフで好投し、勝ちゲームに結びつけた。昨季からのセットアッパーであるジャクソンに加え、クローザーには経験のある今村猛を起用し、5月に復帰した中崎も含めて新たな勝利の方程式も確立した。現在は疲れが見えてきたジャクソンが「8回の男」から外れているが、誰かが不調ならば、他の誰かがカバーする、という投手起用のやり繰りも功を奏している。