史上2人目の3000安打も十分可能! 坂本勇人のハイペースぶりを検証

ベースボール・タイムズ

7月9日、阪神戦の9回に同点タイムリーを放ち、通算1500安打目を記録した坂本 【写真は共同】

 巨人・坂本勇人が7月9日の阪神戦(甲子園)の9回に同点のレフト前タイムリーを放ち、プロ野球史上123人目の通算1500安打を達成した。28歳6カ月での到達は、榎本喜八(東京)の27歳9カ月に次ぐ歴代2位で、球団最年少かつ右打者としては史上最年少記録。その道のりと今後の可能性を語りたい。

「プロは甘くない」からたどり着いた偉業

 高卒1年目の2007年の7月に1軍初昇格して代走で1軍デビュー。同年9月2日に1軍初スタメンを果たし、同6日の中日戦(ナゴヤドーム)の延長12回2死満塁の場面での代打決勝タイムリーが記念すべきプロ初安打となった。

 08年には、巨人では松井秀喜以来となる10代での開幕スタメンから、高卒2年目では中西太(西鉄)、清原和博(西武)に続く史上3人目の全試合スタメン出場を果たして2年合計135本のヒットをマークした。翌09年の5月からは1番打者に定着。当時、「プロの世界はそんなに甘くないと思ってます。だからタイトルとかは目標じゃないし、記録へのこだわりもない」と語っていた男は、その年に178安打をマークすると、10年の171安打、11年の149安打を経て、プロ6年目の12年にはシーズン173安打で最多安打のタイトルを獲得してみせた。

 その後の3年間(13年:147安打、14年:152安打、15年:129安打)はややペースを落としたが、10年目の昨季は168安打を放つとともに打率3割4分4厘で念願だった首位打者のタイトルを獲得。再びアクセルを踏み直すと、今季も開幕から順調に安打を重ね、7月3日の時点では通算1500安打まで残り13本だったところから1週間6試合で一気に節目までたどり着いた。

巨人の大先輩を超えるペース

【ベースボール・タイムズ】

 通算1500安打達成は、プロ野球123人目。坂本の出場1354試合目は、内川聖一(福岡ソフトバンク)より1試合早い歴代16位だが、28歳6カ月での達成は榎本喜八の27歳9カ月に次ぐ史上2番目の年少記録となった。

 比較対象は多くいるが、巨人の高卒スターである松井秀喜、さらには王貞治と比べても、それを上回るハイペース(松井はメジャー移籍1年目に日米通算1500安打を達成)であることが分かる。松井はプロ11年目から海を渡り、王は40歳となったシーズンを最後に通算868本の本塁打を含めた通算2786安打で現役を引退した。

 松井、王の2人とは打者のタイプが異なる坂本だが、試合出場を続ける体の強さは先人たちと匹敵。15年からは主将としてチームを引っ張る立場となったことで責任感も増した。その中で重ねてきたヒット。今後、どのような曲線を描き、どのような選手になるのか。これから先の未来が楽しみでならない。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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