【WWE】イタミはまさかの無効試合で凱旋白星ならず 日本にゆかり深いスーパースターたちが両国で躍動

高木裕美

凱旋勝利目前で試合をぶち壊されたイタミ

 世界最大のプロレス団体WWEの日本公演「WWE Live Tokyo」2日目となる1日の東京・両国国技館大会では、8318人を動員。前日に続き、スーパースターたちの活躍に観客が熱狂した。
“日本初勝利”を目指すヒデオ・イタミは、エンツォ・アモーレと一騎打ち。だが、ビッグ・キャスの乱入により無効試合に終わった。
 かつてはKENTAのリングネームで、プロレスリング・ノアのカリスマ的存在であったヒデオは、14年4月にノアを退団しWWEへ移籍。だが、左肩の手術や首の負傷により2度にわたり戦線を長期離脱。今年5月20日には、米シカゴで開催されたNXTテイクオーバー大会でボビー・ルードの持つNXT王座に挑戦するも、奪取に失敗している。3年越しの日本凱旋マッチとなった前日は第1試合でクリス・ジェリコと一騎打ちを行い、ウォールオブジェリコに惜敗した。

 ヒデオは序盤から得意の蹴りを多用し、サッカーボールキック、顔面ステップキック、串刺しドロップキックと一気に畳み掛けると、アモーレを担ぎ上げ、go 2 sleepの体勢へに入ったところで、突如、キャスが乱入。前日もアモーレを襲撃していたキャスは、まずはヒデオにフロントハイキックを叩き込むと、アモーレにもビッグブーツを炸裂。試合をブチ壊して去っていった。不意を突かれたヒデオは、場外でダウンしたまま退場。リング上でKOされたアモーレも、レフェリーに抱えられながら医務室へと運ばれた。

戸澤は2日連続王座挑戦も奪取失敗

 戸澤陽は前日に続き、ネヴィル、オースチン・エイリースとのトリプルスレッド式クルーザー級王座戦に出陣するも、またも王座奪取とはならなかった。
 共にDRAGON GATEマットで存在感を発揮してきた3選手。今回がスーパースターとして日本公演初参加となる戸澤だが、前日はネヴィルに勝利を横取りされ、あと一歩で王座奪取ならず。この日もエイリースにダイビングセントーンを炸裂すると、フォールを狙いに来たネヴィルも場外へ落し、前日の二の舞を防ぐが、直後にオーエンズの逆襲のローリングエルボーが戸澤にクリーンヒット。すかさず、またもネヴィルがオーエンズを突き飛ばしてフォールを横取り。前日に続き、“漁夫の利”で王座防衛に成功した。

着物姿で登場アスカが連勝記録更新

 NXT女子王者のアスカは、前日に続き、ベイリー&サーシャ・バンクスと組んで、アレクサ・ブリス&エマ&ナイア・ジャックス組と対戦した。
 アスカはかつて華名のリングネームで活動し、日本でも異彩を放つと、WWEからのスカウトを受け、15年10月にNXTでデビュー。今年5月にはビル・ゴールドバーグが持つWWE最多記録の173連勝を塗り替え、現在も更新中だ。
 前日にはサプライズとして、元スターダムの宝城カイリが、カイリ・セインとしてNXT入団および女子トーナメントのメイ・ヤング・クラシックへの参戦を発表。ディーヴァ戦線はますます盛り上がりを見せている。

 この日も大歓声に迎えられ、着物姿で登場したアスカだが、アレクサに顔面を踏みつけられ、ナイアにベアハッグで締め上げられる苦しい展開に。だが、アレクサにドロップキックで反撃。パートナーのサシャがアレクサをバンク・ステートメント(バッククラッカーからのクロスフェース)で仕留め、チームの白星を飾ると、試合後はNXT女子王座を手に観客の声援に応えた。

アンダーソン&ギャローズは両国で戴冠ならず

 RAW世界タッグ選手権試合では、シェイマス&セザーロ組が、カール・アンダーソン&ルーク・ギャローズ組の挑戦を退け、前日に続き防衛に成功した。前日はヒース・スレーター&ライノ組を破った王者組。この日、急なカード変更により、目の前に立ちはだかったのは、かつて新日本プロレスのバレットクラブに所属し、IWGPタッグ王座などに輝いた名タッグチームだった。
 セザーロは得意のジャイアントスイング20回転でアンダーソンをブン回し、そのままシャープシューターでとらえるも、ギャローズがカット。アンダーソンもガンスタンで反撃に出ると、ギャローズもスパインバスター。さらに豪快なパワーボムで叩きつけ、ついに合体技のマジックキラーでトドメをさそうとするも、シェイマスが阻止し、ギャローズにブローグキック。逆にセザーロがアンダーソンを担ぎ上げ、シェイマスのホワイトノイズとセザーロのスイスアッパーカットの合体技で勝利し、ベルトを死守した。

ベイラーがジェリコとの元日本本対決制す

 この日は第1試合からいきなり、日本でおなじみのクリス・ジェリコvs.フィン・ベイラーによる一騎打ちが実現し、客席を沸かせた。
 ジェリコは91年にFMWに初来日し、WARではライオン道のリングネームで冬木軍にも加入。02年3月1日に横浜アリーナで開催されたWWE初の日本公演では、メインイベントで世界ヘビー級王者としてザ・ロックを迎え撃つなど、古くからのプロレスファンにもなじみの深い選手。一方、ベイラーもプリンス・デヴィットの名で新日本プロレスで活躍し、バレットクラブの初代リーダーも務めた。

 両者に対し、入場から大歓声が沸き起こると、試合中も「レッツゴー・ベイラー」「Y2J」のチャントが発生。ジェリコはウォールオブジェリコ、ライオンサルト、コードブレーカーと得意技を惜しげもなく繰り出すと、ベイラーはこれをしのいぎ、ブラディーサンデー、スリングブレイド、ジョン・ウーからのクー・デ・グラで勝利を決めた。
 試合後、ベイラーに握手を求めたジェリコが、「ベイラーもオレも、日本で長く過ごした。またここに帰って来られて嬉しい。愛してます、ニッポン」と話し、マイクを託すと、ベイラーも日本語で「はい、お疲れ様です。本当におもしろいです。Y2Jスゴイネ。クリス先輩」と偉大なる先輩に敬意を表した。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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