「BIG3」にNBAレジェンドが集結 バスケの母国に誕生した3on3の新リーグ
観客はアイバーソン目当ても……
リーグ創立の時点でアイバーソンという看板スターを確保できたことは大きい。写真は現役時代のもの 【写真:ロイター/アフロ】
オールスター出場11度、得点王4度、MVPも1度。その果敢なプレースタイル、破天荒なライフスタイル、抜群のスター性ゆえに、全盛期のアイバーソンは常軌を逸するほどの人気を集めた。1990〜2000年代のNBAを席巻した小柄なスコアラーは、BIG3でも不可欠の存在であり続けるはずだ。
ただ……オープニングデイを見る限り、あまりにもアイバーソンに話題が集中していることがリーグにとっての不安材料になり得るとも感じられた。スタメン出場した“AI(アイバーソンのイニシャル/愛称)”だったが、プレー時間はゲーム最小の9分。フィールドゴールは1/6で2得点のみ。正直、ハイレベルのバスケットボールをプレーできる体調ではないようにも見えた。
「コーチ、選手、キャプテンとして契約し、コーチの役割は果たし続ける。(ただ、)プレーは期待されているようにはいかないよ。かつてのようなアレン・アイバーソンはお見せできないからね」
この日の試合後にはアイバーソン本人もそう語り、今後もそれほど多くの時間をプレーするつもりはないことを示唆していた。
一過性のイベントで終わらせないために
「ビッグネームを得ることは重要だ。さらに大事なのは、ゲームがしっかりとした“勝負”として成立することだ」
リーグの関係者がそう述べていたが、実際に単に「元スターのサーカス巡業」「オールドタイマーズツアー」のような一過性のイベントで終わらせないために、真剣勝負感を出すことは必須に違いない。
引退後の選手ばかりなのだから仕方ないが、この日は体重超過気味のプレーヤーが目立ったことは否定できない。現役時代は「ホワイト・チョコレート」の愛称で親しまれたジェイソン・ウィリアムスが、開幕戦でいきなり負傷退場。高齢選手が多いがゆえに、今後もけがのリスクは消えないはずだ。
3×3が五輪の正式種目に追加されたタイミング
ともあれ、BIG3のスタートでバスケットボールファンの楽しみが増えたことは間違いあるまい。
「(新リーグの)可能性は無限大だよ。デビューイベントを見てくれれば分かるはずだ。(盛り上がりは)予想していた以上。他の引退した選手たちも、これを見てうずうずしているんじゃないかな」
そんなアイバーソンの言葉を聴いても、選手側も記念すべき開幕イベントを楽しんだことは明白だ。このリーグの成功次第で、ファンはお気に入りの選手のプレーをより長く楽しめることになる。
BIG3がスタートしたのが、3×3のバスケットボールが2020年東京五輪の正式種目に追加された直後というタイミングも象徴的に思える。ポテンシャルを感じさせるイベントを徐々に改善し、さらに大きく発展させてほしいもの。30代以降の選手がスキルを披露する場として確立し、ファンの間でも真夏の楽しみとして定着するリーグになっていくことを望みたい。