ジダンの下でさらなる伝説を作ったレアル 偶然ではない史上初のCL連覇
かつての理想に近づいたレアル・マドリー
ジダンは選手たちのエゴをうまくコントロールしながら、メディアともうまく付き合う柔軟性を持っている 【写真:ロイター/アフロ】
リオネル・メッシ擁するバルセロナを抑え、ヨーロッパにおけるレアル・マドリーの支配力は絶対的なものとなりつつある。ジダンが手にしたレベルの成功は、近年ではビセンテ・デルボスケ、カルロ・アンチェロッティの指揮下でしか実現し得なかったものだ。
3人はいずれも謙虚な人柄を特徴とし、選手たちのエゴをうまくコントロールしながら、メディアともうまく付き合うことができる柔軟性を持ち合わせている。不必要に激しい身振りを交え、選手達を怒鳴りつけるようなこともしない。ただ、視聴者にとって不可欠なエンターテインメントを提供しているだけだ。
偶然が重なっただけでは、4年間で3度のCL制覇を成し遂げることなど不可能だ。もちろん、サンティアゴ・ベルナベウでのバイエルン・ミュンヘン戦しかり、決勝まで自動的に勝ち上がれたと言っていいほど、対戦相手に恵まれた昨季の組み合わせの妙など、レアル・マドリーに有利に働いた誤審や幸運もあった。だが、それだけでこのコンペティションを勝ち続けることはできない。
良いプレーを実践しながら、結果を出し続ける
再びヨーロッパ王者となったレアル・マドリーは、訪れるべくして訪れた甘い時を堪能している 【写真:ロイター/アフロ】
レアル・マドリーは12度目のCL制覇を実現するとともに、12月にUAEで行われるクラブワールドカップ、そしてマンチェスター・ユナイテッドとのUEFAスーパーカップへの出場権を手に入れた。ユナイテッドを率いるのは多数の主力選手と対立し、クラブをスキャンダルの渦中に追い込んだジョゼ・モウリーニョだ。
さらにリーガ・エスパニョーラ王者のレアル・マドリーは、国王杯の王者であるバルセロナとのスーペルコパ・デ・エスパーニャの2試合も戦わなければならない。挑戦は続くが、今のレアル・マドリーのように勝つことに慣れたチームは、プレッシャーを感じることなく、自然とフットボールを生み出せるものだ。
ベンチから怒鳴られることなく、ピッチ外の問題に悩まされることもなく、良いプレーを実践しながら結果を出し続ける――。再びヨーロッパ王者となったレアル・マドリーは、訪れるべくして訪れた甘い時を堪能している。
(翻訳:工藤拓)