強いドラゴンズを取り戻したその先に… 2000安打達成・荒木の次なる願い

ベースボール・タイムズ

入団時の監督・星野氏登場に「ウルっと」

通算2000安打を達成し、記者会見に臨む中日・荒木 【写真は共同】

 黄金期の竜をけん引したリードオフマンが偉業を成し遂げた。

 中日・荒木雅博が2017年6月3日の東北楽天戦で、日本プロ野球史上48人目となる通算2000安打を記録。中日ひと筋の生え抜きでは立浪和義氏以来4人目。本拠地・ナゴヤドームでの達成は球団史上初として名を刻んだ。

 前日の同カード、1点リードの7回裏に貴重な2点タイムリーを放って王手をかけた。迎えた翌3日の第2打席。4回裏、1死走者無しで打席に立つと、美馬が投じた初球のスライダーにバットを合わせた打球は右翼手・ペゲーロの前に軽やかに弾んだ。その瞬間、ナゴヤドームに詰めかけたドラゴンズファンから歓声が沸き起こり、温かい拍手に包まれた。

 場内に2000安打達成のアナウンスがコールされると、三塁側から花束を持って現れた姿にふたたび場内は沸く。荒木が入団時にチームを率いていた星野仙一氏(現楽天球団副会長)の登場だ。

「アイツは守りやピンチランナーで使い始めたが、きらりと光るものがあった。課題はとにかくバットということで振りまくった。それから結果がそこそこ出るようになって、使ってみようという気にさせたな。18歳の“ボウズ”の頃から知ってる教え子が大記録を達成したんだからウルウルっとくるよ」

 わが子を褒めるかのように力強く頭をなでる光景はかつての竜の闘将を思い起こさせ、往年のファンの胸を熱くする一幕でもあった。荒木自身も「(星野氏の)姿を見ただけでウルっときました。半分泣いていました。(入団当初は)使えるような選手じゃなかったのに使ってもらった。感謝しています」と熱いものがこみ上げてきたことを認めていた。

自己犠牲の下に積み重ねた2000本

 2000本目の安打に関して荒木は少しはにかんで振り返った。

「ちょっとタイミングが早くて(振るのを)やめようと思ったら、いいところに飛んでくれました。でも、あんな感じで出てくれて良かったです」

 決して会心の当たりではなかったが、しぶとく外野手の前に落とした安打こそ荒木の代名詞といえるのかもしれない。2000安打以上を達成した選手のなかで、荒木が記録した33本塁打は最も少ない。ホームランバッターではないからこそ、プロで生き抜く道としてたどりついた答えが“チームバッティング”だった。

「自己犠牲をすることに誇りをもってやってきましたし、もしそれで2000本が打てなかったとしても胸を張って辞められるという気持ちでやってきました。(本塁打を)33本しか打てない選手だったからこそ徹底して小技をやってきたし、右打ちもしてきた。33本のおかげで2000本(安打)を打てたと思います」

 そう話す表情は、自信以外の何物でもなかった。荒木にとって2000安打達成は決してブレることなく突き進んだ証だった。

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著者プロフィール

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プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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