「世界で通用するのはやはり桃田」 代表復帰は時期尚早も、高まる期待

楊順行

プレーにはもっと奔放さがあっていい

立ち居振る舞いは優等生でも、プレーには奔放さがもっとあってもいい。代表復帰にも期待が高まる 【写真:アフロスポーツ】

 復帰を優勝で飾りはしたが、むろん課題もある。トレーニングによる肉体改造は、「スピードがアップした分、シャトルの下に早く入れますし、体幹が強くなって試合終盤、また苦しい体勢でも、ぶれずに強打できる」(桃田)が、きわめてデリケートなネット前のショットでは、増したスピードとの折り合いがついていない。

 かつての桃田は、一度ためて相手の足を止める、いわば時間差のネットショットも持ち味だったが、今はそれを封印し、速くタッチする正攻法にとどまっている。「お客さんに楽しんでもらうような余裕がない」というのは本音だろうが、立ち居振る舞いは優等生になっても、プレーにはもっと奔放さがあっていい。

 今後は全日本実業団選手権を経てカナダオープン、USオープンに自費で出場する予定。日本協会の派遣対象は代表のみのためだが、RCの決勝を視察した朴柱奉・ナショナルチームヘッドコーチによると、「フィジカルは謹慎前と同じくらいでしょうが、試合勘については1年間のブランクを感じました。今回の結果だけでは、代表復帰は難しいかも」。

 ただ、おりしも桃田復帰の土曜日に準決勝が行われたスディルマンカップ(世界国別対抗団体戦)は、中国に敗れ3位。男子シングルスは4戦全敗だった。15年の前回大会では、桃田が全勝し、初めての銀メダル獲得に貢献している。RCの初戦で敗れた和田が言うように「世界で通用するのは、やはり桃田」。11月の全日本総合選手権で、エースの代表復帰を待とう。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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