巻き返しを誓うロッテ主将・鈴木大地 「先ではなく今を見るしかない」
5月21日の楽天戦で逆転2ランを放ち、勝利を引き寄せた鈴木 【写真は共同】
5月21日の東北楽天戦。1点を追う8回、2死一塁から鈴木大地がロッテファンの待つライトスタンドへ2ランを放ち、3対2で逆転勝ちした。
5月18日、埼玉西武に5対1で敗れ、5年ぶりの8連敗となった。連敗中、主将の鈴木はこう言っていた。
「どんな展開でも、最後まで応援してくれるファンの方がいる。ありがたいし、こういう結果で申し訳ない。とにかく前を向いてやっていかなければいけない。全員で一試合、一打席、一球に集中して、できることを全力でやるだけです」
まさに、その言葉どおりの一打だった。
24歳で主将に抜てき
チームメートの荻野貴司は、そんな鈴木について言う。
「野球に取り組む姿勢がすばらしい。普段の練習からひたむきにやっていますね。練習を楽しんでいる、野球を楽しんでいるという感じです。悩んでいるときもあると思うけど、それをまわりには見せない。自分より年下ですけど、いつも『すごいな』と思いながら見ています」
東洋大時代は3年時に副将、4年時に主将を務めた。実は、東洋大の高橋昭雄監督は、鈴木が3年生のときに主将に任命しようとしていた。鈴木が戸惑いを見せたこともあって副将に落ち着いたのだが、それでも3年生で副将になるのは異例のことだった。高橋監督は当時を振り返る。
「大地は、とにかく真面目。何に対してもベストを尽くす選手だったね。ランニング、キャッチボールに取り組む姿勢から、道具を大切に扱う姿。大地の所作やマナーがお手本になると思って3年生で副将にしたんだよ。大地には『お前の生きざまをチームに見せろ』と言ったんだ」
ロッテではプロ3年目の2014年シーズン、24歳の若さで主将となった。
13年のシーズンの納会で、伊東勤監督から主将就任を打診された。鈴木は「機会があるなら、やりたいです」と答えた。伊東監督からは「主将だからどうこうではなく、今までどおり、元気を出してやってくれればいい」と言われたという。
鈴木は言う。「元気を出してやることと、試合では最後まであきらめないことは、野球を始めた頃から自分で決めていることなんです。それをやっていたら、高橋監督や伊東監督に買ってもらったということなのかな、と思っています。結果で引っ張るのがベストなんでしょうけど、自分らしさはそういう部分かな」
サブローのアドバイスでチームを一つに
「お前がしゃべってばかりだと、監督やコーチが話しているのと同じだぞ。自分の意見を伝えるのも大事だけど、みんながどう考えているのかを引き出して、一つにするのが大事なんじゃないか?」
それからのミーティングでは、鈴木はスピーカーではなく、司会者となった。
今年5月12日、北海道日本ハム戦に1対15で敗れた試合後にもミーティングを開いた。試合に負けた後の悔しい気持ちのなかで、鈴木を中心に選手たちは話し合った。
「意地を見せよう」
「プロ野球選手として、1軍のこういう舞台で野球ができる幸せを感じてプレーしよう」
「一球への執念や向かっていく姿勢を表に出そう」
鈴木は言う。
「主将になったばかりの頃は、どのタイミングでミーティングを開けばいいかわからなかったけど、今は『ここだな』というときに自発的に動けるようになりました。ミーティングを開くのは、たいていチーム状態が悪いとき(苦笑)。いろいろな意見が出ますが、言えばスッキリすることもあるし、聞けば『そういう考え方もあるんだな』と考えを共有できます」