錦織圭の拠点「IMGアカデミー」とは? 多くのトップアスリートが輩出される理由
エリートの入学はごくわずか
テニスコートでは未来のトッププレーヤーを目指す少女がコーチとともに練習していた 【坂本清】
APD(Athletic and Personal Development)」と呼ばれる独自の理論をもとにカリキュラムは構成される 【坂本清】
ちなみに授業料は、生活費などすべて込みで最低でも年間700万円ほどかかる(金額は学年や競技によって大きく異なる)。決して安いとは言えないが、この恵まれた環境で学ばせたいと、日本からも毎年、入学希望者が見学に訪れている。
受け継がれる切磋琢磨の精神
練習後の錦織(左から3人目)と記念撮影する生徒たち。さまざまな国やレベルの選手に囲まれ、恵まれた環境で成長していく 【坂本清】
各国の実力者たちとしのぎを削る経験がいかに好影響を与えるか。テニスの練習システムを例に挙げると分かりやすい。生徒は年齢や競技歴にかかわらず、レベル別に8つのグループに分けられ、スキルが近い生徒たちと切磋琢磨することでモチベーションを高く保つことのできる環境におかれる。対戦成績やレベルアップ次第でグループ間の入れ替えは随時行われ、下のグループの人が1つ上のレベルで練習ができるようになる仕組みだ。コーチの佐藤は、完全なる実力主義の世界で、子どもたちの闘争心に火がつく場面を幾度と目の当たりにしてきた。
「(上級生たちは)身体的にも勝っているし、年齢も上で経験もあるから負けないですよね。でも、そこで(下級生に)ガツンと一発やられて負けた時には、すごく目の色が変わりますよ」
カフェテリアで昼食を取る升田(左)と森山光壱。プロサッカー選手を目指し、ライバルたちに負けまいと奮闘している 【坂本清】
錦織のジュニア時代には、今ほどテクノロジーは進んでいなかったし、ここまでの設備はなかっただろう。しかし、「負けたくない」「強くなりたい」と、世界各国の選手たちと競い合いながら成長できる環境は、当時も変わらずあったはずだ。
創立から40年間、各国の子どもたちによって作り出され、受け継がれてきた切磋琢磨の精神こそ、「IMGアカデミー」が名門となった、最たるゆえんなのかもしれない。
(取材・文:小野寺彩乃/スポーツナビ)
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