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“越後のダルビッシュ”ら好素材が多数
東都「2部」ドラフト候補たちの現状
高校時代から“越後のダルビッシュ”と称されていた国士舘大・椎野は195センチの長身右腕
高校時代から“越後のダルビッシュ”と称されていた国士舘大・椎野は195センチの長身右腕【撮影:高木遊】

「2部」ながらも、かつては黒田博樹氏(専修大/元広島など)、阿部慎之助(中央大/巨人)ら多くの好選手もプレーしてきた東都大学野球2部リーグ。中継ぎでフル回転し、今年の大卒新人投手の中でもトップと言っていい活躍を見せている黒木優太(オリックス)は、立正大での4年間すべてをこの「東都2部」で過ごした。


 そして、今年も少なくとも5名の選手がプロからの高い注目を集める、もしくはプロ志望の意向を持っているとされる。投手では椎野新(国士舘大)、葛川知哉(青山学院大)、東野龍二(駒澤大)。野手では捕手の小畑尋規(立正大)、遊撃手の遠藤康平(青山学院大)だ。


 その5選手が出場する2試合を目当てに、多くのNPB球団スカウトが5月8日の大田スタジアムに集結した。

【動画】国士舘大・椎野の投球フォーム

発展途上中の“越後のダルビッシュ”

 多くのスカウト陣の中で最も輝きを放ったのは国士舘大の195センチ右腕・椎野だ。14回196球を投げ、サヨナラ負けを喫したものの、13三振を奪って3失点に抑えた。


 新潟・村上桜ヶ丘高時代は、3年春の県大会で6試合38回3分の2を投げて51三振を奪って県大会を制覇し、「越後のダルビッシュ」との異名がついた。ただ、当時はまだ全体的に荒削りで、当時国士舘大で指揮を執っていた永田昌弘監督(現国士舘高監督)は「楽しみな選手が獲れた。でも2年間は“放牧”かな」と体づくりから入ることを示唆していた。


 だが、チーム事情により1年秋から登板機会を得ると2勝をマーク。その後はチームの低迷とともに勝ち星を多く積み重ねることはできなかったが、昨秋には2部優勝決定プレーオフも含め4勝をマークした。


 2部ながらも早くから高いレベルに身を置いたことで「インコースも攻められなければ通用しない」と悟り、コントロールを磨いてきた。それだけにこの日は積極的にインコースを使って相手打者を攻め、終盤以降から使い始めた落差のあるフォークも有効に決めるなど経験豊富ゆえのマウンドさばきを見せた。


 某球団の投手出身のスカウトは「腰の開きが遅いので球持ちが良く、相手打者は差し込まれている。大柄ではあるが、フォームに無駄なロスがなく力の出し方が良いので制球力もある」と高く評価。軸足が早く折れて体重移動がスムーズにできていない課題も指摘していたが、「その分伸びシロがあるということ」とさらなる成長に期待をかけていた。

青学勢は秋の復調に期待

高校時代から経験豊富な青山学院大・葛川。右横手から140キロ台後半のストレートを投げ込む
高校時代から経験豊富な青山学院大・葛川。右横手から140キロ台後半のストレートを投げ込む【撮影:高木遊】

 14回186球を投げ10奪三振2失点と、椎野に投げ勝ったのは青山学院大のサイドハンド右腕・葛川知哉。中学3年夏に鍛冶舎巧監督(現秀岳館高監督)が率いていたオール枚方ボーイズ(現枚方ボーイズ)でジャイアンツカップを優勝し中学日本一を経験。大阪桐蔭高でも森友哉(西武)とバッテリーを組んで3年時に春夏連続甲子園出場を果たした。


 だが、青山学院大では1年時にチームは2部へ降格。2年春に公式戦デビューを果たすも舞台は2部リーグだった。以降は細かなケガを何度か重ねながらも、各大学のグラウンドや地方球場のマウンドで腕を磨いた。


「武器はストレートで押せること」と話すように、最速148キロのストレートでカウントを稼ぎ、スライダーやシンカーを交える投球スタイルだ。ただ、昨秋後半は走っていたストレートが今季は走っておらず、それに伴いスライダーやシンカーも決め球になりきれていない。前出の投手出身スカウトも「体の遠いところから遠いところへ腕を振ってリリースしていているので腕のしなりが少なく、打者からも見えやすい印象」と課題を話した。


 同じく青山学院大では遊撃手・遠藤康平が秋のプロ志望届提出を視野に入れているが、昨秋の打率1割9分1厘に続いて、今春も打率2割と低迷。今季を無失策で終えるなど好守には定評があるだけに、1年春に1部で打率3割2分4厘を記録し、新人賞を獲得した打棒を復活させたいところだ。

高木遊
1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。