内山監督「誇りをもってアグレッシブに」  U-20ワールドカップ メンバー発表会見

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内山監督「攻守共にコンパクトにプレーするのが大事」

「最後やるからには頂点を目指して頑張りたいと思います」と抱負を語った内山監督 【スポーツナビ】

――監督としてはどういった部分を進化させてきたのか、そしてこの21人でどのようなサッカーをしていきたいのか?

内山 アジアの決勝(AFC U−19選手権2016)では当然、個々のフィジカルの高いサウジアラビアに非常に苦戦しまして、われわれのチームのコンセプトとしては積極的にボールを奪って攻撃に出ていこうという中では、なかなか意図的にボールを奪えなかった。個々の判断のところで身体能力の高い選手、個の能力の高い選手に手こずってしまったところがありました。南米の遠征、ドイツの遠征をしまして、もちろんJリーグの厳しい戦いの中で、そういった部分の意識をもう少し粘り強く、判断のところも柔軟性をもってというところは強化してきた中で、チームの方向性としては変わらないと思うんですけれども、もう少し特に守備は粘り強く戦っていかなければいけない、そういうところを求めてきました。

――ポジションごとに選考基準を教えてほしい。

内山 最終ラインに関しては1次予選、最終予選と無失点で終わりまして、ベースとしてのディフェンスラインは基本的に変わっていません。杉岡に関しては、Jリーグのパフォーマンスが非常に高く、レギュラーとして安定しているので、そのあたりも含めて新しい、1次予選、最終予選とメンバーに入っていませんけれども、Jリーグでの安定したパフォーマンスによって(メンバーに)入っています。

中盤に関してはここもベースとしてはそんなには変わっていないんですけれども、当然長くボールを持てるとは思っていません。アジアよりは支配される時もあると思うんですけれど、基本的にはマイボールになったときにボールを簡単に失わない、中盤でマイボールの時間を作れる選手、それぞれ特徴があるんですけれども、ベースとして考えています。

 攻撃に関しては、世界の大会はそんなに簡単ではないですけれども、ゴールチャンスがなかなかできないということはなかったので、よりクオリティーの高い選手、チャンスメークできるプレーヤーを(選びました)。また嬉しいことに、これはそのまま継続してもってってもらいたいですが、ここ数試合、代表の選手がJリーグでも何点かゴールを決めてくれていますし、そういった良い部分を継続したまま大会に入れたらと思っています。

――南アフリカ、ウルグアイ、イタリアと強豪がそろっている。このグループの印象は?

内山 南アフリカは身体能力が高くて、予選を見るとそれほどオーガナイズされてはいないんですけれど、個々の身体能力、意外性といった部分では迫力もありますし、なかなかわれわれ代表選手も1昨年ちょっと前にマリ代表とバーレーンでゲームを行ったんですが、マリのテクニカルな感じより、どちらかというと南アフリカはフィジカル中心で、そういった意味ではきちんとわれわれが組織の中で対応していくと。当然、間延びしたサッカーをやられると難しくなってしまいますので、3戦ともに言えるんですが、われわれの生命線であるコンパクトに攻守にプレーしていくということが一番大事だと思っています。

 ウルグアイに関しては、厳しい南米予選を1位で突破していますので、ウルグアイ自体がフル代表もそうですけれど、堅守速攻といいますか、前線に非常に能力の高い個がいます。そこはバランスもったなかで、カウンターも含めてしっかりリスク管理しながら戦っていかないといけないと思っています。

 イタリアはヨーロッパの2位で、試合巧者といいますか。われわれはできるだけボールを動かして速いテンポでサッカーをやりたいんですけれど、そこを防いでくるとことは十分に考えられます。そういった場面でもじれずに、われわれのテンポで何とか(サッカーをやりたい)。U−20が若いと言ってはいけないんですが、初めての選手も(いますし)、経験ですし、初戦がいずれにしても勢いに乗れるチャンスだと思っています。準備を含めて南アフリカ戦が当然、大事になってくると思っています。

――10年ぶりに世界大会に挑むにあたって、この国のサッカーが今成長している実感はあるか?

内山 世界を目指す4大会で、ベスト8、決勝トーナメント1回戦で惜しくも負けて、昨年、五輪のU−23のチームも(アジアで)優勝しまして、U−17も世界の切符を取って、われわれがアジアチャンピオンになりました。3カテゴリーが結果を出すということは、育成年代が間違った方向に行っていない、一気にそういった結果が出ることはないと思っています。

 いろいろな積み上げの中で、細部には詰めていかなければいけないことはたくさんあると思うんですけれども、今回出る選手に関してはやはり、世界の本当に厳しい本気の試合を経験すること、ひとつでも多く経験することが次の東京五輪、フル代表につながっていくと思います。恐れず、アジアチャンピオンとしての誇りをもってアグレッシブに戦いたいと思っています。

――W杯の目標を一言。

内山 グループステージを突破して、3試合のゲームは勝ち取ったので、これは選手にもずっと言い続けていますけれど、とにかく個々の能力といいますか、選ばれた誇りをもって、チーム力をもって何とか突破して、1つでも多くゲームができて、最後やるからには頂点を目指して頑張りたいと思います。

久保は「自分で何ができるか」を分かっている

内山監督は久保に「サッカーで一番難しい『自分で何ができるか』というのを分かっている」と期待を寄せる 【写真:アフロスポーツ】

――チームのキャプテンは(U−19選手権から)引き続き坂井に任せるのか。任せるのであれば、その意図や坂井に期待することを教えてほしい。

 はい。(キャプテンは)坂井大将です。ブラジルW杯のバックアップメンバー、U−17の世界大会のときの経験も含めて(キャプテンを任せています)。なかなか自チームでは出場経験には恵まれていないですが、彼はピッチ上でも外でも、バランス感覚に優れていますし、決して大きく声を出すタイプではないですけれども、チームを冷静に引っ張ってくれる。そういったところで継続してキャプテンをお願いしています。

――久保が選出されたが、その評価は? また、アルゼンチン遠征から招集されていて、チームになじんできているのか。

 昨年の最終予選後、アルゼンチン遠征のときから招集していますが、もちろん(FC東京U−23として)J3リーグにも出場していたことと、U−16のアジアの予選も含めて見た中で、わたしの印象としては、彼はサッカーで一番難しい「自分で何ができるか」ということが分かっています。味方のことも分かっていて、適応能力が高い。特に攻撃に関しては、非常に柔軟に変化を持たせられる。グループ(代表)の中で過ごす時間はそんなにありませんでしたが、その短い時間でも判断能力がとても高いというのはプレーを見て感じていました。恐らくフィットするにもそんなに難しくないだろうという予測のもとに、選出しました。

 今言ったように判断、的確なプレーと、高い精度の功撃ができる選手ですので、やはり高いレベル(の大会を)をより早く経験した方が彼のためになると思います。アルゼンチン遠征から国内キャンプ、ドイツでのキャンプと成長の速度が目に見えるようにはやく感じています。彼のような選手にはより良い環境、レベルの高い環境でプレーさせたほうが、より効果が出るというのが、久保に関する評価です。

――U−20というのは世界で見ると、「総仕上げ」と言われる年代だと思う。この大会に日本が出る意義や、この大会を経験してどんな選手に育ってほしいかを教えてほしい。

 個人的には、久保と同じようにチーム全員が世界に出ていくことで、自分の足りないところを見て、今後、自分が何をしていかなくてはならないかということ、世界のトップクラスと対戦する上で、グループとして何が必要なのかということ(を感じてほしい)。もちろん上まで勝ち上がりたいですが、そういった現実をしっかり見られる大会だと思っています。

 真剣勝負の中で、ゲームの流れを含めて、いろいろな経験をして、それが後のフル代表、東京五輪、いろいろなものにつながっていくと思います。そういう意味でも、ネガティブに(大会に)入ってしまうと何も残らないので、積み上げてきたもの、持っているものを出してほしいと思います。当然、相手に攻められる時間があったり、いろいろなことを経験すると思いますが、細部のことも感じながら。最後の勝負は細部に宿ると思っていますので、良い準備をして的確にゲームをしたいと思っています。

 ゲームのコントロールに関しては、これでいいということはないと思いますので、本当に素晴らしい経験になると思うので、とにかくアグレッシブにやりたい。それが一番です。

――ボランチで市丸を選出したが、その理由とボランチ全体を見て、どんな判断をしたのか教えてほしい。(安藤隆人/フリーランス)

 ひとつは自チームで板倉、冨安がボランチとしてプレーしています。そういった部分で、最終ラインとともに高さも必要で、彼らをボランチとして考えることもあるかもしれません。市丸に関しては、最終予選でもオンの精度に関しては、テンポも含めて非常に高い。ゲームのリズムを作っていくような時間帯もあると思いますので、そういったゲームをしたいと思う中では、クオリティーを持っていると思います。

 最終予選は特に守備のところでは原を使って、(原が)非常に活躍してきたのですが、今はサイドバックをやったり、J1でもレギュラーを勝ち取っていて、守備に関してもユーティリティー性が非常に高いと思っています。当然、守備はゴールを守ることが一番ですが、その中で積極的にバランスを崩さず、ボールを奪いにいく中では、高さも必要なので、そういう選出になっています。

――FWの選考は「最後まで余地を残す」とおっしゃっていました。恐らく田川が4人目のFWに選ばれたのだと思うが、あらためて彼を選んだ理由、期待することを教えてほしい。(川端暁彦/フリーランス)

 これもユーティリティー性(の部分)にかかわることですが、前線に関しては今、(所属の)G大阪で堂安が2トップの一角をやったり、三好も前線をやっています。そういった部分では、高さというと小川1人しかいないので……。いろいろなタイプのFWが前線にほしいと思いました。

 彼(田川)はU−16のときに見ていて、スピードや高さ、身体能力も非常に高いものを持っていますし、ずっと気になっていた選手でしたので。ここにきて(所属の)鳥栖でも、交代出場ではありますが、スピードを生かして明確なゴール前での動きを見せていました。自らの特徴が非常に出てきていると思います。

※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。

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