【ボクシング】体重の壁を越えたメキシコのスター対決 カネロ・アルバレス対チャベス・ジュニア
身長10センチ、リーチ6センチ勝るチャベス・ジュニア
この両者は07年〜08年ごろに対戦プランが持ち上がったこともあるが、ともに無敗の快進撃を続けている最中であり破談になった経緯がある。その後、11年3月にアルバレスがWBCスーパー・ウェルター級王座を獲得し、3カ月後にはチャベス・ジュニアが1階級上のWBCミドル級王座につくなど、ふたりは常に刺激し合うポジションにいた。体重だけでなく両者のパワーバランスが崩れ始めたのは12年からだ。
チャベス・ジュニアがセルヒオ・マルチネス(アルゼンチン)に敗れ、世界王座を失ったうえドーピング違反も発覚。1年のサスペンドを受けたのちに戦線復帰を果たしはしたが、約束の体重をつくれず契約体重を再三上げたすえ拙戦を演じ、15年4月にはライト・ヘビー級でアンドレイ・フォンファラ(ポーランド/アメリカ)にダウンを喫して9回終了TKO負け。すぐに再起を果たしたものの、その後は足を痛めて1年5カ月もブランクを作ってしまった。偉大な元世界3階級制覇王者の父親フリオ・セサール・チャベスからも「やる気がないのなら引退すべき」と勧告されたほどだ。
これに対し、アルバレスは13年9月にフロイド・メイウェザー(米国)に敗れはしたが、以後は6連勝(4KO)を収めて復調を印象づけている。特に元世界ランカーのジェームス・カークランド(米国)を3回KOで屠った試合、カーンを右一発で失神させた試合、昨年9月にリアム・スミス(イギリス)から3度のダウンを奪って9回KOで下した試合などは強いインパクトを残している。個々の戦力だけでなく勢いや充実度といった数字に表せない面でもライバルの上を行っている。こうしたことが裏づけになってオッズでも11対2の大差で支持を受けている。
164.5ポンドの契約体重がどちら有利に働くか?
一方のアルバレスは過去最重量が155ポンド(約70.3キロ)で、今回はそれよりも9.5ポンド(約4.3キロ)も重い体重にしなければならない。単に増量するだけならば問題はないが、これまでと同じ動きができるように仕上げなければならないのだから容易なことではない。仮に体重が同じだったとしても、身長175センチ/リーチ179センチのアルバレスに対し、チャベス・ジュニアは185センチ/185センチと基本的なサイズで大きく勝る。しかもチャベス・ジュニアは計量後のリバウンドが10キロ近いと伝えられるだけに、アルバレスが体格面で大きなハンデを背負っていることは確かだ。
スピードで勝るアルバレスは適度に動きながら出入りし、右ストレートや左のボディブロー、近距離ではアッパーなどで攻めるものと思われる。順当ならばこれらのコンビネーションがチャベス・ジュニアにダメージを与え、中盤あたりで勝負が決するとみる。
これに対しチャベス・ジュニアは正攻法では分が悪いだけに、馬力を生かして相手の体力を奪う戦い方をしてくる可能性がある。打ってはクリンチ、あるいは上から覆いかぶさるなどしてアルバレスを消耗させて乱戦に引きずり込み、後半勝負に持ち込む策を練っているのではないだろうか。数多くの世界王者を育成してきたナチョ・べリスタイン・トレーナーがついているのも不気味だ。
小がスピードで大を制するのか、それとも大が馬力で小を封じ込めるのか。メキシコのスター対決に要注目だ。
Written by ボクシングライター原功
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164.5ポンド キャッチウェイト契約
サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)/2階級制覇王者
フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)/元WBC世界ミドル級チャンピオン