引退の村上佳菜子、決断は昨年の全日本 「すべてにおいて限界感じた」
この日行われた国別対抗戦のエキシビション(東京・国立代々木競技場第一体育館)で現役最後の演技を披露した村上は、大会後に取材に応じ、「心身ともに限界を感じた」と引退に至った経緯を説明。今後はプロスケーターとして活動を続けながら、後進の指導にあたりたい考えを示した。
22歳の村上は2010年に世界ジュニア選手権優勝、GPファイナル3位になるなど活躍し、14年には日本代表としてソチ五輪にも出場。今月引退を発表した浅田真央さんらとともに日本女子の中心選手として活躍するも、五輪後は成績が低迷し、昨年の全日本選手権でも8位と苦しいシーズンが続いていた。
以下、国別対抗戦エキシビション後に取材に応じた村上のコメント。
全日本フィギュア終えて引退決意
引退を発表した村上佳菜子。現役最後の演技を終えると、笑顔で花束を受け取った 【坂本清】
意外と気持ちはすっきりしていて、現役はこれで終わりなんですけれど、これは終わりじゃなくて、ここからがスタートだと思って、今までとは違った努力をしていければいいなと思います。
――最後の演技は2012−13シーズンのショートプログラム(SP)『プレイヤー・フォー・テイラー』を使った。どういう思いだったのか?
私については、どちらかと言うと小さいころの『ジャンピン・ジャック』(10−11シーズンのSP)の印象が強いと思うんですけど、今日は「これだけ大人になりました」というものを見せたいと思ったのと、感謝の気持ちを心に込めて滑りました。
――演技が終わった瞬間は、どういう気持ちだった?
「終わりかぁ」と思って、演技が終わった瞬間は涙が出てきたんですけど、「いや、終わりじゃない。これがスタートだ」と思って、笑顔で終わろうと涙をこらえました(笑)。
――引退を決めたのはいつ、どういうタイミングで?
実は(昨年12月の)全日本選手権のフリーが終わった時点で、先生にも「今までありがとうございました」という話をしていたので、けっこう早い段階から決めてはいました。
――五輪を翌年に控えたタイミングでの引退だが?
昔から「五輪」という気持ちはあんまりなかったので、それよりも1つ1つのシーズンをクリアしていきたいという思いが強かったです。ただ、ここで引退をしたというのは、自分の中で限界が来ていると感じましたし、ここからはアイスショーで自分が見せたいものを見せたいと思います。
一番の思い出はソチ五輪「あの頃はすごく楽しかった」
ソチ五輪ではSPで出遅れ12位に終わったものの、「一番充実していた」と振り返る 【写真:ロイター/アフロ】
やっぱり、あの頃はすごく楽しかったな、スケートをしていて充実していたなと感じます。本当はもっと続けていかなければいけなかったのかなと思いますけど、真央ちゃんとは「お互いによく頑張ったね」という話をしていて、「頑張ったんだな」と感じました。
――現役生活の一番の思い出は?
一番の思い出は、(鈴木)あっこちゃんと真央ちゃんと一緒に五輪に行けたことです。自分のスケート人生の中で一番の思い出だと思います。
――今後はどういう道を歩んでいく?
プロとしてアイスショーに出て、テレビなどに出させていただけたら、そういう道でも頑張っていきたいと思います。
――今後、若い選手たちにどういうことを期待したいか?
今は本当に若い選手が出てきています。自分は途中から試合が怖くなってしまったので、そういうふうにならないように、試合を楽しくやってもらいたいなと思いますし、本当に頑張ってもらいたいという気持ちでいっぱいです。
――全日本でやめようと思ったとのことだが、どういう心の変化があった?
全日本の前から、「これが最後なのかな」というのはあったんですけれど、先生といろいろ相談をした上で、「自分が最後にやりたいと思う演技は何だろう」と考えたときに、選手としては悔しい決断ではあったんですけど、ジャンプのレベルを下げて、皆さんの心に残る演技をしたいという気持ちが出てきたんです。
それを目指して練習して、全日本でそういう演技ができたので、「これで終わりなんだ」と。今までは良くても悪くても心残りがあったんですけど、全日本のあとは「終わりだな」とすっきりすることができたので、本当に良かったと思います。