鹿島が“仕掛ける”スタジアム戦略 「ゾンビイベント」開催の理由に迫る

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前代未聞のホラーイベント開催の経緯は?

ゴールデンウイーク、カシマスタジアムがゾンビに侵食される!? 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 来るゴールデンウイークに鹿島アントラーズのホームスタジアム、茨城県立カシマサッカースタジアムで前代未聞のホラーイベントが開催される。その名も「ゾンビパンデミックwith鹿島アントラーズ カシマゾンビスタジアム〜スタジアムに隠された謎を解き生還せよ!〜」。株式会社タイトーと方南町お化け屋敷オバケンとの共同で行われるこのイベントは、全面解放されたスタジアム内を自由に駆け巡りながら謎解きを楽しむことができるのが特徴だ。

 一般的にお化け屋敷といえば、暗い道を恐怖に耐えながら歩いてゴールに向かう、というものだが、オバケンの吉澤正悟が手掛けるお化け屋敷は一味違う。従来とは異なる「ミッションクリア型」で、提示されるお題を解かなければ脱出することができないのだ。今回のイベントでは、参加者がスタジアム内の複数の場所でミッションに挑む。

 今回のイベントでは、「スタジアムを奪還せよ」という目的のもと、4つのミッションが用意されており、すべてをクリアすることで、スタジアム内のとあるエリアで行われる「特別ミッション」に参加することができる。ただし、ミッションをクリアするためにはゲームスタートの際、参加者全員が腰に装着する2本の「ライフベルト」を狙い、襲ってくるゾンビたちから逃げなくてはならない。

 また、特別ゲストとしてOB選手たちも参加予定。現在、鹿島のCRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)を務める中田浩二、さらに元日本代表の秋田豊、名良橋晃が登場し、イベントを盛り上げる。

取材中、突如ゾンビに扮した中田CROが乱入! 全く知らされていなかった取材班はパニック状態に 【スポーツナビ】

「選手たちが着替える更衣室であったり、ミーティングルームだったり……。普段入れないところに入ることができるというのが特徴で、貴重な体験だと思います」と、吉澤はスタジアムならではの見どころを教えてくれた。ゾンビが徘徊するスタジアムの中を謎を解きながら冒険する――まるで、自分がゾンビ映画の主人公になったような臨場感が味わえるのではないだろうか。

 スタジアムでホラーイベントという一見、結びつきそうにないように思える2つのキーワードだが、どのようないきさつでイベントを実現するに至ったのか。実際に企画が動き出したのは昨年の5月。地域活性化のためのコンテンツの一貫として、スタジアムを使って何か面白いことができないか。そう考えたカシマサッカースタジアム副所長の萩原智行が業者やイベント会社が参加する展示会に訪れた際、タイトーとオバケンに声を掛けたことで企画がスタートしたのだという。

イベント実施の背景にある「地域活性化」の狙い

今回のイベントの仕掛け人である3人。左からタイトーの相見、オバケンの吉澤、鹿島の萩原 【スポーツナビ】

 スタジアムでゾンビイベントを行う狙いはどこあるのだろうか? オバケンと共同でイベントを主催するタイトーの相見将丈はこう話す。

「鹿島のファンももちろんですが、エンタメ好きな人にも来てもらいたいと思っています。その方たちがスタジアムを体験することで、『今度はサッカーを見に行こうかな』と思ってもらえたら一番いいですね」

 今回のイベントではミッションをクリアするまでの過程を楽しむゲームファンだけでなく、鹿島のファン・サポーターも楽しめるよう、ミッションをクリアすることで、抽選で試合球やサイン入りのユニホームがプレゼントされる。双方のファンがイベントを楽しむことで、お互いに興味を持ち、今後につなげていくという狙いがある。

 そんな相見の狙い通り、SNS上でイベントの開催を告知した際にはさまざまな立場から、多くの反響が寄せられたという。「サッカークラブとしての鹿島はどちらかというと堅いイメージ。そんな鹿島がこんなことをやるの!? と。うちのサポーターはもちろん、他クラブのサポーターからの反応も大きかった」と萩原は笑う。

「何か新しいことをやるときに、(Jリーグで)一番最初にやりたいというクラブの思いがあるんです。他のチームがやる前にうちがやりたいと思っています」

 常にJクラブの先陣を切る存在でいたいという鹿島らしい発言だが、こうした新しい試みを積極的に行う背景には、“THE DREAM BOX(ザ・ドリームボックス)”という言葉がある。スタジアム運営におけるキャッチフレーズであるこの言葉には、スタジアムをわくわくするような体験ができる場所にしたいというクラブの思いが込められている。

 実は今回のイベントにおいて重要な役割である「ゾンビ役」は、ボランティアで募集を行った。こうしたイベントに地元の人たちや鹿島のファン・サポーターが関わることで、スタジアムを身近に感じてもらい、地域全体を盛り上げていきたいというのが3者に共通する一番の目的だ。

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