カデナ基地の本領発揮 「競馬巴投げ!第142回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

これが“トラストミー馬券制度”だ

[写真2]カデナの後ろ姿 【写真:乗峯栄一】

 信頼され確立すれば、実はいまの「ガラスの手前・向こう」の位置関係でも、この「トラストミー馬券」は可能だ。

「あのう、キングズラッシュの単勝1万円ください」と窓口で言うと「じゃこの証書にあなたの名前と“キングズラッシュ1万”書いてくださる?」と書類を渡される。

「え? おカネは?」

「おカネはこちらからお渡しするんじゃないですか。キングズの単勝はいま100倍だから、はい100万円、え? どうぞ、さあ、遠慮なさらずに」とおネエさんはこっちの手をそっと握る。

「え、なんでまた?」

「お客さん、聞いてません? 私たちJRAは今年から“トラストミーJRA”になるんです。いままでの“客不信頼組織”から“客信頼組織”に変貌するんです。顔を見て信頼できそうなお客さん、たとえばあなたみたいなね、フフ、そういう人には先に配当お渡しするんです。キングズラッシュ来なかったら、もちろん100万と馬券代1万返して下さるんですよね、あなたの顔にちゃんと書いてありますもの、“トラストミー”って」

 これが“トラストミー馬券制度”だ。

“トラストミー馬券”は客が持ってレースを見るのではなく、JRAの方が持つ。

 そして信頼を破った客の数だけJRA倉庫に“トラスト・ミー外れ馬券”が山積みされていく仕組みになる。

カデナは後ろ姿しか撮れなかった。残念。

 まずいつものように、写真の説明から。枠番順に、撮影できた馬を出します。

[写真1]は共同通信杯を勝ったスワーヴリチャード。

[写真2]は弥生賞を勝ったカデナ。宮記念の週(まだ皐月賞ゼッケンを着ける前)、目の前を中竹軍団が通り、その中に中竹調教師もいたので、「この列にカデナいませんか?」と聞いたら、「これ、この前の馬」と指差され、慌ててシャッター押したが、もう後ろ姿しか撮れなかった。残念である。

[写真3]ペルシアンナイト 【写真:乗峯栄一】

[写真3]はアーリントンCを勝ったペルシアンナイト。

[写真4]ファンディーナ 【写真:乗峯栄一】

[写真4]は桜花賞をスキップして、ここに挑戦してきた唯一の牝馬ファンディーナ。フラワーCを勝って無傷の3連勝だが、牡馬に混じって果たしてどうなんだろうか。前売りでは一番人気だが。

[写真5]プラチナヴォイス 【写真:乗峯栄一】

[写真5]はプラチナヴォイス。スプリングSでは、3角大まくりで一旦先頭に出たが、最後さされて3着となる。しかしまくっていける脚があるのは確かだ。

[写真6]ダンビュライト 【写真:乗峯栄一】

[写真6]はダンビュライト。弥生賞は終始前々勝負で3着に残り、しっかり権利を取った。この堅実さをどうみるかだ。

[写真7]アメリカズカップ 【写真:乗峯栄一】

[写真7]はアメリカズカップ。きさらぎ賞は重馬場の中、粘りに粘って1着となる。ダンビュライトやプラチナヴォイスは押さえているが、良馬場でどうか。

[写真8]クリンチャー 【写真:乗峯栄一】

[写真8]は2月、宮本厩舎の洗い場で撮らせてもらったクリンチャー。厩舎にはシンザン記念勝ったシュウヘイもいるのだが、シュウヘイはマイル路線を行くらしい。両輪の一頭としていい仕事をしたいはずだ。

2/3ページ

著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント