五輪「3枠」が懸かる世界フィギュア 男子はほぼ確実、宮原欠場の女子に重圧
6位、7位以上に食い込むには
日本女子は宮原(中央)が欠場するなか、樋口(左)や三原がどう上位に食い込むかが注目される 【坂本清】
日本女子の場合、エースの宮原知子(関西大)が疲労骨折のため欠場するなか、どう「6位」と「7位」以上に食い込むかが注目される。
今季の自己ベストを比較すると、三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ)は四大陸選手権で200.85点をマーク。これは世界選手権に出場する選手の中では5番目に高いスコアだ。また樋口新葉(日本橋女学館高)も今季のフランス杯で194.48点を出しており、9位につける。本郷理華(邦和スポーツランド)はまだ今季調子が上がっていないが、昨季の世界選手権でマークした199.15点を出せれば、7位相当になる。
エースの欠場により3選手に均等に重圧がかかる状況だが、本郷は2015年世界選手権6位の経験を生かし、そして三原と樋口は初出場の勢いで駆け抜けることが、「日本女子3枠」のために重要になる。
一方、男子は羽生結弦(ANA)、宇野昌磨(中京大)の2人がグランプリ(GP)ファイナル、四大陸選手権ともに表彰台に乗っており、実力を発揮できれば「3枠」はほぼ確実だろう。
さらにヒートアップする4回転時代
「何種類、何本跳ぶか」が話題になる4回転ジャンプ。羽生(左)、宇野ともに3種類かつショートで2本、フリーで4本を入れる 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
最も「種類・本数」が多いのは、ネイサン・チェン(米国)。4回転トウループ、サルコウ、フリップ、ルッツの4種類を跳び分ける。2月の四大陸選手権では、ショートプログラムで2本、フリースケーティングで5本の「計7本」を降り、300点超えを果たした。
続いて、金博洋(中国)は4種類目の4回転に挑戦中。昨季の四大陸選手権では、ショート2本、フリー4本の「計6本」を成功させた。「フリーでの4本成功」は史上初に認定されている。調子次第では「フリーで4種類5本」に挑戦する可能性もある。
次に羽生、宇野が3種類を跳ぶ。羽生は4回転「トウループ、サルコウ、ループ」を、宇野は「トウループ、ループ、フリップ」を成功。2人とも、ショートで2本、フリーで4本の「計6本」を入れる。羽生、宇野ともに四大陸選手権で「フリーでの4本」を着氷させた。
ベテラン勢は演技構成点を重視
世界選手権2連覇中のフェルナンデス。4回転ジャンプの本数ではなく、演技構成点で勝負する 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
また元世界王者のパトリック・チャン(カナダ)も、ショート1本、フリー3本の「計4本」で、若手に挑む。熟練したスケート技術が演技構成点の源になっており、300点超えも射程圏内だ。
この上位6人の争いに食い込めるとすれば、4回転サルコウを跳ぶ田中刑事(倉敷芸術科学大)、高い芸術性で一目置かれているジェイソン・ブラウン(米国)あたりだろう。ソチ五輪銅メダルのデニス・テン(カザフスタン)はケガがどこまで回復しているかに懸かる。
またロシアの新エースとして期待を集めるミハイル・コリヤダは、挑戦中の4回転ルッツが決まればトップ6に迫ることができるだろう。マキシム・コフトンも2種類の4回転ジャンパーで、ショート・フリーを通じて演技がそろうと強い。ロシアは2人の順位合計が13になれば、「五輪3枠」を獲得し、来季の五輪出場レースを有利に進める素材になる。
いずれにしても五輪のプレシーズンということもあり、新たな4回転に挑戦できる重要なチャンス。「16−17シーズンに、ここまで4回転を成功させた」という記録が、オフのトレーニングに大きく影響する。是非とも失敗を恐れずに、果敢な4回転バトルを繰り広げてほしい。