「私らしく第2の人生を楽しみたい」 木村沙織 現役引退の報告会見
慣れ親しんだ東レアリーナで、木村沙織が引退会見を行った 【坂本清】
緊張した様子で登壇した木村は、引退を決意した理由を「気持ち的に前ほど悔しい気持ちがなくなったり、試合に負けて『くそー』みたいな感覚が少し薄れてきた」と説明。「動きはピークと変わらずに試合に出ていた」とも語り、体よりもメンタルの要因が大きい様子だった。会見では何度も感謝の言葉を繰り返し、今後については「私らしく第2の人生を楽しみたい」と語った。
今は感謝の気持ちでいっぱい
――たくさんの思い出が詰まった体育館での引退発表となったが、今の心境は?
普段ここは練習している場所なので、こういう形は初めてで少し不思議な感じがします。本当に長い間お世話になった、この東レアリーナで最後のあいさつができて本当にうれしく思っています。
――たくさんの記者、カメラが来ているが、引退を発表して少し違って見えているのではないか。
すごく緊張します。すみません(笑)。
現役最後の公式戦となったファイナル6は負傷交代となった 【坂本清】
週末(25、26日)にVリーグのオールスター戦があるので、その準備もしながら、東レの練習に少し参加させてもらっていました。あとはご飯を作ったりお掃除をしたり、家で主婦をしていました。
――年末に結婚されて、やっと過ごせる新婚生活だと思う。どんな料理を作った?
本当にたいしたものは作れていないんです(笑)。ずっとバレーボールをしていたので、あまりご飯を作る時間もありませんでした。普通にスーパーに買い物に行く時間もなかったので、そういうことが今はすごく新鮮です。
バレーボールは「常に生活の中心」
木村(左下)は五輪に4回出場。ロンドンでは銅メダルを獲得した 【写真:アフロスポーツ】
今まで本当にたくさんの方々に応援してもらって、たくさんの仲間に支えてもらってここまで続けることができました。本当に皆に感謝の気持ちでいっぱいです。一戦一戦、そういう気持ちをかみ締めながら戦っていました。
――五輪には4回出場し、世界大会では銅メダルを2つ獲得した。現役生活の中で最も印象に残っている試合とその理由を教えてほしい。
1つに絞るのはなかなか難しいですけれど、ロンドン五輪準決勝の中国戦(3−2)というのは、やっぱり一番印象深いと思います。あの試合がなかったらメダルにつながらなかったと思いますし、皆がその試合に懸けていたので、戦っていてチームの一体感がすごかったです。
――バレーボールを小学校から始めて20年以上になると思う。木村さんにとってバレーボールとはどんなものだった?
バレーボールとは、「常に生活の中心」という感じです。バレーボールがあったから出会えた人もいたし、行けた場所もたくさんありました。本当に自分を高めてくれました。
ロンドン五輪後、全日本ではキャプテンを務めた 【坂本清】
長い間ずっとバレーボールをしてきたので、少しゆっくりしながら、家族の時間も作りながら、主婦をしながら……。あとは私らしく第2の人生を楽しみたいと思います。
――たくさんの人たちが木村選手を目指したり、応援していたと思う。その人たちに最後にメッセージがあれば。
今まで本当にたくさんのファンの方々に応援していただいて、メディアや記者の方にもいつも温かく見守っていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。なかなか世間の期待にプレーがついていかなかったときもあったと思いますが、ずっと変わらずに応援してくれて、本当にありがとうございました。
――やり切った感覚はあるか?
はい、すっきりです。