「私らしく第2の人生を楽しみたい」 木村沙織 現役引退の報告会見
ほんわかと温かい幸せな家庭を築きたい
「動きはピークと変わらずに試合に出ていた」と語る木村。引退はメンタルの問題だったことを明かした 【坂本清】
私は今30歳ですけれど、自分のピークがどこだったのかはあまり分かっていません。今シーズンのリーグ戦も最初はあまり良くなかったですけれど、後半になるにつれて良い状態に持っていくことができました。自分的に動きはそんなにピークと変わらずに試合に出ていたと思っています。
どこがピークかは分からないですけれど、うまくいかなくなったり自分の思うように動けなくなってからやめるというよりは、気持ち的に前ほど悔しい気持ちがなくなったり、試合に負けて「くそー」みたいな感覚が少し薄れてきたかなという感覚がありましました。プレーがどうこうというよりは、アスリートである限りは勝負にこだわらなければいけないと思います。そういう気持ちの部分で薄れてきた感覚があったので、引退とさせていただきました。
――気持ちが薄れてきたのが引退のきっかけになったと言ったが、いつごろの話なのか。あと結婚をされて、どんな家庭を築きたいか。
薄れてきたのはロンドン五輪が終わったときです。その後トルコに2シーズン行ったんですけれど、その辺りではなかなか試合に出れなかったときもあったんですけれど「絶対に出たい」という気持ちにならないときがありました。その辺りから、そんなんじゃダメだなと思うようになりました。
どんな家庭にしたいかというと、のんびりと。のんびりというかほんわかと(笑)。温かい幸せな家庭を築けたらいいなと思います。
――自身のブログで引退を発表後、引退に関する取材を封印してシーズンに臨んでいた。どんな思いでそういう対応をしたのか。
最後のシーズンは大きく言うと、幸せなことなんですが今までは常に周りにカメラの方がいる中でやらせてもらいました。だから最後は、東レのメンバーだけで、皆が変に気を使うこともなく、しっかりとリーグ戦に集中してベストなパフォーマンスを出したいという気持ちがあったので、そこは協力してもらいました。ありがとうございます。最後は皆で良いチームで練習もできたし、そのまま良い形で試合も戦えたし、すごくよかったと思っています。
――チームは出だしの調子が悪く、入れ替え戦に回る可能性もあった。チームメートは長く一緒にプレーするために、ファイナル6やそれ以上を目指して戦ってくれた。その点を木村選手はどのように見ていたのか。
今シーズンの最初はなかなか勝てなくて、入れ替え戦も途中では頭によぎりました。年明けからまた皆が動き始めて、最後のファイナル6では勝ち切れずにそこで終わってしまったんですけれど、そこまでの過程では誰1人止まることがなく、下を向く選手もいませんでした。何回もミーティングをしたり、勝つためにどうしたらいいのか、皆がどういう行動を取るべきか。そんな細かいところまで皆で話していたので、そういうのが最後につながって良かったと思います。
ファイナル6まで一緒に戦わせてくれた仲間やスタッフの方々に感謝しています。私がどうのこうのいうよりも、絶対に優勝したいという気持ちが皆にすごくあるのを感じました。
勝敗にこだわらなくていいのは安心
最後のファイナル6での戦いについて、仲間への感謝を語った 【坂本清】
今はそこは考えていません。今は本当に第一線から外れて、ファンと同じ目線でバレーを観戦したい気持ちが強いです。
――木村選手にとって東レというチームはどのようなチームだった?
高校を卒業してから、ここで12年ほどお世話になりました。バレーボールの技術面もそうですが、東レという会社の方針は社会人として勉強させてもらったこともたくさんあります。親のような存在というか、いつも温かく応援してもらって、すごく成長させてもらったなと感謝しています。
――引退を決断するまでいろいろな思いがあったと思う。今の心境は?
今の心境は感謝の気持ちと、すごく緊張しています(笑)。バレーボールも今月末で終わるということで、ホッとしている気持ちと、これから何があるか分からないですけれど、世界と戦うことはもうなくなると思うので、勝敗にこだわらなくていいというのはすごく安心しています。